Pearson Sound - Thaw Cycle

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  • Hessle Audioを率いるDavid Kennedyには実験的なサウンドデザインに対する親和性があり、彼は人々を動揺させることなくクラブミュージックにそうした要素を落とし込んでいる。しかし、Pearson Soundによる同名のファーストアルバムは、そうした特性のために、彼が自意識に埋没してしまったような作品になってしまった。それ以来のリリースとなる「Thaw Cycle」では、かつてなく素材を削ぎ落した音楽を引き続き提示している一方で、Pearson Soundの素晴らしいトラックを生み出すエネルギーと独特の勢いが完全復活している。 両サイドのトラックは彼らしい要素を基盤にして成り立っており、不均衡なドラムループが反復するのを聞けば、時計の針の音が鳴る中で微細な変化が発生している光景を想像してしまうだろう。"Thaw Cycle"は非常にダイナミックで、Kennedyが得意とするピアノサンプルの挿入に合わせて、浸透し泡立ち始める。彼はフィルターのノブを回すことで微細な解放を実現しており、反復と減衰に対する聴覚の鋭さが際立っている。許可無くSleeparchiveの"Elephant Island"をサンプリングして本人から反感を買った"Freeze Cycle"では、意識に訴えかける細かなサウンドスケープへと沈み込んでいく。ここではスペーシーなシンセと、ドラムを打ち込みまくるプログラミングが、テクノのみに焦点を絞って突き進んでいるが、遊び心のある跳ね感と共に引き続きバウンスしている。Pearson Soundが手掛けるトラックのほとんどと同様、気ままであり、そして同時に傑作だ。
  • Tracklist
      A Thaw Cycle B Freeze Cycle
RA