- 「Startup Label 1」はBepotel Recordsから初となるヴァイナルリリースだ。Bepotel自身にとっても2013年にVlekに提供した「Kikkerkelik」（英語サイト）以来となるソロリリースである。「Kikkerkelik」は従来型のハウスとテクノの空気に傾倒していた。とはいえ、「従来型」というのは、彼ら3人が居住するベルギーの一風変わったシーンが基準の話だ。対照的に「Startup Label 1」では、よりミニマルで非常に特異なサウンドが提示されている。"Tranquille Gitflo"でのたゆたうシンセパッドは淡く涼しげで軽やかだ。一方、不規則に訪れるインターバルでは声の断片が躍動している。全体としてどこかに向かっている訳でもなければ、じっと同じ場所に留まっている訳でもない。
残りのトラックも類似しており、非常に豊かな生態系を持つ秘密の空間に偶然足を踏み入れたかのように複雑で流動的だ。中でも隙間が多めのトラックになっているのが"MSG"だ。重々しいパーカッション上を単一のシンセラインが不安定によろめいている。"+Quarry S"では、3人のサウンドがBerghainのダンスフロアにおけるサウンドで最もドラッギーな方向へ押し進められている。本作のあらゆる要素と同じように、霧の立ち込めるドローンや、洗い流していくようなハイハットなどの変化は、ツマミを微かに調整して行われているのだが、有無を言わせぬ魅力は全く失われていない。
TracklistA1 Tranquille/Gitflo
A2 MSG
B1 +Quarry/S