Kowton - On Repeat / Holding Patterns

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  • Joe Cowton(Kowton)にとってLivity Soundから約3年ぶりとなるソロEP「Repeat / Holding Patterns」に収録されたトラック2曲は、予想通り、何にも似ていないサウンドだ。彼の最新12インチで衝撃的なのは、自身の音楽にさらなる要素を加えながら、ミニマリズムへの傾倒を見事に表現しているところだ。「More Games」(英語サイト)で見せたグライムに影響下にある鈍い質感のドラムが"On Repeat"のオフビートでも引き続き聞ける一方で、テクノ的感覚を中心に据えたアレンジメントでありながら、今回はメロディがさらに際立っている。 昨年の傑作シングル「Whities002」の印象は、建築家がモノトーンで描くスケッチブックのような音楽をもともと作っていた人物が、突如、色彩を爆発させたかのようだった。"On Repeat"では、そうした豪華さから若干、身を引いているが、鷲掴むような魅力はそのままだ。滑走していくシンセのメロディは、Cowtonが既に確立しているアイデアを元にしているため、より自然な印象で表れている。 「On Repeat / Holding Patterns」のドラムはいつも通り一切の無駄が無く素晴らしい。"On Repeat"に比べると"Holding Patterns"では、さらにしっかりとグリッド上にキックが打ち込まれているが、追随するリズム要素は各キックに対してエコーチャンバーのように機能しているため、ハイハットとスネアが至るところに散りばめられている。昨今のKowtonは複数の要素を何とか両立させようとしているように見えるが、彼の作品のバランスはかつてない精度で保たれている。
  • Tracklist
      A1 On Repeat B1 Holding Patterns
RA