Solfa 7th Anniversary Day 1 -Olso-

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  • 大型のクラブか、小規模なバーか。東京の遊び場が二極化していく中で、中目黒のSolfaはどちらにも当てはまらない規模感ならではの居心地の良さと熱気、土地柄に合った洒落た雰囲気も感じられるスポットだ。さりげなく、かつ実直に箱の個性を活かしたパーティーを開いてきたからこそ、7周年を迎えることができたのだろう。そしてSolfaのバースデーウィークを彩るトピックとして、国内のテクノを今もリードし続けているTakkyu Ishinoの初登場が決定。Takkyuが150人規模の箱でDJを行うことは、都内ではほぼ無い機会。貴重な一夜を体験することができた。 この日に開催されたパーティーはOlso。青山Oathで不定期で開催されているほか、代官山Airにて年1回のペースでTakkyu Ishinoを(平日に)招致、筆者も週末以上の熱気を体感した記憶がある。その際もTakkyuのプレイ前にフロアを特異なミニマルで揺らしていたのが、Keita Magaraだ。この日もメロディを排した、乾いた感触のミニマルハウス/テクノ中心のプレイだが、不規則なドラムの刻みや、意表を突くようなブレイクを挟み単調な展開には陥らない。ルードな感触と、のめりこんで踊れるディープさを兼ね備えたDJを聴くことができた。 その頃、一方のラウンジではNehanがプレイ。彼らしい欧州・USの骨太なグルーブはキープしつつ、走りすぎず、緩やかに踊れる温度感のディープハウス中心の選曲。続くTaichiは、Classicに代表される跳ねたUK・シカゴハウスをベースに80’sディスコやNu Grooveなどのクラシックも流れの中にまとめ上げる鮮やかなセットを披露。その後、フライヤーデザインを担い、DJとしてSolfaで幾度となくパーティーを開催してきたKakiuchiがモダンなミニマルとWarp系の流れを汲んだテクノを用いて急遽参戦。三者三様の個性が主張し合うにぎやかなB2Bを展開した。 満を持してSolfaのブースに姿を見せたTakkyu Ishinoは、出だしから一段と太いベースを響かせ、出だしから多くの観衆を鷲掴み。毎週末の経験の積み重ねもあるだろうが、クリアな出音を創り出すミキサー捌きが、初の現場でも発揮されていたのにはただただ驚かされた。トレードマークのアシッドベースも交え底抜けの安定感に乗せられ続け、普段はチープに感じるような派手なブレイクでも大盛り上がり。一度フロアに入ると抜けられないほどの人口密度であった。 締めのDJはOlso、Rebootなどのパーティーで活躍するKomatsu。近年再興の兆しを見せるエレクトロ・ブレイクビーツも交えつつ、Point GやHerbertなどのディープハウスで潜航する展開。流れを完全に引き継げてはいなかったものの、堅実にパーティーのラストを締めくくった。 やはり周年ということもあり、ピークの時間はかなりの盛り上がりを実感できた。Takkyu Ishinoの選曲がSolfaメインフロアの中域が映える鳴りにフィットしていたことも、いい空気が生まれた要因だろう。しかし一方で、ピークとその他の時間のテンションの差が、(他の会場よりも)如実に実感できてしまった。Takkyu Ishinoという強烈な個性に匹敵するDJを行うのは難しいが、この日のアクトはいずれも持ち味を生かしたプレイを披露していた。それ故に、楽しみつつももどかしさを感じてしまった。
RA