Karen Gwyer - Bouloman EP

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  • 昨年、The Quietusでのインタビュー(英語サイト)において、Karen Gwyerは4つ打ちのテクノを制作したことがあるかどうか質問された。彼女は笑いながら次のように答えている。「もちろんよ! 何回もあるわ。そして今は『少し変わったテクノにしてみよう』って感じでやってるわ」。「Bouloman」はGwyerがベルリンのレーベルNousから初めて発表するEPだ。本作では非常に変わったテクノが生まれている。しかし、彼女がダンスフロアに対して分かりやすい路線を取っていないからといって、核となる部分に辿り着けていない訳ではない。 「Bouloman」は忙しなく、予測不可能で、立ち眩みするような作品だが、重要なのは、同時に推進力があることだ。本作では澱んだ空間に事欠くことはない。つまりそれは、Gwyerによる狡猾なアレンジが全編に行き届いていると言える。"Keisa Kizzy Kinte"では、タイトに敷き詰められた高ピッチのシンセがつんのめっており、その背後では低域が激しく渦巻いている。スネアが挿入されアップビートになると、前述の低域がそのチャンスを利用して圧搾音の激しさを増し、予期せぬファンクネスでトラックを満たしていく。 Bサイドではペースが着実に早くなっていく。轟くローエンドにより支えられ、屈強なドラムパターンから構築された"Brunch Music"は、リスナーの鼓動を早くするに違いない。しかし、聞いて分かる通り、このトラックは"Shit List With Kid"に至るまでのウォームアップに過ぎない。"Shit List With Kid"では、高らかに鳴り響く不協音ドローンが「猛烈なリズムが展開していくにつれ、BPMを上昇させているかのような幻覚」を生み出している。肉体にかかる負荷は凄まじいが、大きく揺らぐメロディや遊び心のあるドラムの一撃など、ぬかるみの中からディテールを引き出すことができれば、「Bouloman」はかなり過酷であると同時に十分に聞きごたえのある作品になるだろう。
  • Tracklist
      A1 Keisa Kizzy Kinte B1 Brunch Music B2 Shit List With Kid
RA