- 「Bells」は地元の飲み屋だけでなくfabricでも人々を踊らせることができるレコードだ。テルアビブを拠点に活動するボーカリストXENと、同郷のイスラエル人コンビであるRed Axesがまれに見るほど見事にバランスの取れた作品を仕上げてきた。「Bells」はダンスレコードとしての実用性と緊迫感を併せ持っているが、その多くは80年代におけるノーウェイブの7インチ作品にフィーチャーされていてもおかしくない。"All Of The Sun"での土着的なベースギターを聞けば、Liquid Liquidのライブ会場にいるかのような気分にさせられる。ただし、そのステージにはよりたくさんのノブとボタンが操作されているのだ。
XENのボーカルはトラックよりも若干ピッチをずらしている。彼女の軽やかで抑揚のあるモノトーンな声は薄いフィルムのスタティックノイズやディトーションに覆われることもあるが、それ以外では少しだけエコーがかけられている。部分的に声を覆うことで、XENがトラックのリズミカルなパルスをコントロールしながら、各曲のフロウにその身を投じることが可能になっている。"All Of The Sun (Voodoo)"においても、彼女は同量の仕事ぶりを見せており、低域の効いた剥き出しのリズムとMIDIによる訝しい木琴演奏から成るトラックをスタイリッシュに仕上げている。Rex Axesによる"Bells"のリミックスバージョンでは、蜘蛛のようなマリンバのシーケンスがトラックの勢いの大半を担っている。このリミックスが本作で最もダンスフロア向けのトラックに思えるかもしれないが、他の収録曲においてもバーにいる人々をクラブへと掻き立てる様子を容易に想像できるのではないだろうか。
TracklistA1 Bells
A2 All Of The Sun
B1 Bells (Red Axes Remix)
B2 All Of The Sun (Voodoo)