Computer Graphics - CCCP EP

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  • 多作のロシア人アーティストAlexey Devyaninは、今年前半にアルバム『Places』を制作したプロジェクトPixelordで最も知られている。『Places』では、特定の様式に深く根付くことなく見事な多様性を実現するメロディアスなエレクトロニカというDevyaninのスタイルがしっかりと要約されていた。このアルバムに続く作品である本作では、Devyaninは数ある名義の中から、まどろんだハウスミュージックのホームであるComputer Graphicsを選んだ。「CCCP」は「ソビエトの社会科学映像やアニメーション、そして、かなり古い時代のカセットテープ」からインスピレーションを得ている。本作は素晴らしくおぼろげな深夜の音楽であり、全編に渡ってはっきりとノスタルジアを感じさせながら、Devyaninの音楽のほとんどに共通している甘い情熱が保たれている。 EPに収録された6つのトラックは、崩れ去りそうなハウスグルーヴ、いびつに波打つパッド、テープヒスといった限られた素材から成り立っている。1曲目の"CCP"と"Itsnotaboutcomputers"では、公共放送の初期の時代を思わせる権威的なロシア男性の声が使われている。Devynaninの彩る世界は説得力があるが、いつも通りの軽いタッチで描かれている。トラックはスケール観が小さいものが多く、最もハッとさせられる展開は往々にして他の要素ですぐに取って代わられることが多い。例えば、"Downloading"の熱狂的なブレイクはかなり面白いのに、無気力なトラックパートによって妨害されている。Devyaninが好む音領域で際どく攻めている時は、彼のサウンドの魅力が増している。"Make_Me_Juice"では、ダークガラージの驚異的な感覚を伴いながらトラックは揺れ動き、ラストトラックの"Virtual Race"では、ぎこちない動きのダブから始まるが、展開していくにつれ、固さが解れていく。
  • Tracklist
      01. ​CCCP 02. ​Downloading 03. ​Itsnotaboutcomputers 04. ​Make_me_juice 05. ​Virtual Race
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