The Galleria - Calling Card

  • Share
  • Storm Queenにおいて、Morgan GeistとDamon C. Scottはハウスのポップな快楽性を駆使して、"Look Right Through"のMKリミックスなど、英国のシングルチャート1位を獲得するほどの抗いようのない音楽を生み出してきた。Storm QueenやMetro Areaの切り取ったメロディのいずれにおいても、Geistの音楽を何年も彩って来たのは甘さたっぷりの感性である。そして今回のThe Galleriaでは、彼はこの甘い感覚をフリースタイルの領域に持ち込んでいる。Jessy Lanzaが参加した第1弾のリリースで、ふたりはGeistが若き日を過ごしたニュージャージーでの音楽に愛すべきトリビュートを捧げている。 ゆったりとしていてファンキーでフリースタイルなバイブを心得ているGeistの楽器使いが素晴らしい。そして、Lanzaがそのサウンドを見事な歌へと変化させている。彼女は"Calling Card"では氷のディーバへと、そして、"Mezzanine"では揚々とした恋人へと姿を変えている。前者は、オーケストラヒッツやバウンシーなカウベル、簡素なスネアから成り立っており、Lanzaの辛辣な歌詞を見事に縁取り、唸り声と打撃音によるブレイクへと突入していく。一方、"Mezzanine"は、Lanzaが鮮烈なシンセサウンドに合わせてスウィートに歌い上げる中、トラックのべっとりとした中心部が硬質なもので包まれていく。GeistとLanzaの組み合わせはとても自然で、鮮烈なプロダクションが急上昇中のカナダ人シンガーであるLanzaのこれまでに味わったことのない新たな一面を引き出している。 両トラックのダブバージョンも収録されており、80年代のリミックス作品の多くに特徴的だった荒削りながらも活性の高い手法で、原曲を処理している。どちらも原曲と同じくらい素晴らしく、眩暈のするような反復がフックとなり、ちょうどいいバイブを生み出している。Geistの完ぺきなフリースタイル作品は実に素晴らしい。それは1985年に発表されても2015年に発表されても同様だ。
  • Tracklist
      A1 Calling Card A2 Calling Card (Razor Dub) B1 Mezzanine B2 Mezzanine (Up Dub I)
RA