Part2Style & RSD in Bristol

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  • Banksyの他、様々なアーティストがグラフィティを描き、レコード店Idlehandsや複数のライブ/クラブ会場が軒を連ねるストリートStokes Croftの入り口に位置するFull Moon/Attic Barは、ブリストルで半世紀以上営業されている老舗のひとつだ。Daddy GやDJ Krustといった重鎮たちもプレイすることのあるDJバーFull Moonには、レストランが内設されている他、バックパッカーが宿泊する部屋も用意されており、いわゆる音楽以外の要素でも人の流れが生まれる形態になっている。そして、「コ」の字型に建てられた会場には、中庭を挟んでライブ/クラブ用途に特化した250人規模のAttic Barが併設されている。同会場が取得しているライセンスの制約により、午前2:00に営業が終了するため、イベント開始時間は20:30と早い。この日の入場料は最初の1時間無料、以降3ポンド(約550円)で、イベント前の早い時間から同ベニューで飲んでいた人はそのまま居続けることができる。もちろん、再入場可能。 到着時にプレイしていたのはRob SmithことRSD。2007年の”Kingfisher”や、2008年のホワイト盤”Murderation”、今年リリースされた”World Hungry”など、新旧を問わず自身のトラックを中心にプレイしていた。ブレイクビーツを解体したようなリズムから、ワンドロップのタフなリズムまで、縦横無尽にうねるベースラインを軸に大きくタメのあるグルーヴを紡ぎながら、縦長のフロア前部に集まっていたオーディエンスを揺らしていた。ボイスサンプルや少し歪ませたシンセフレーズの割合が増え、ダークなムードが深まっていくに従って、オーディエンスの熱も高まっていった。後半にはジャングルに移行するなどRSDの音楽性を十分に堪能できるセットを披露してくれた。同日、他店でDJをすることになっていたTunnidgeもプレイ前に立ち寄っていた。 英国では会場内が禁煙のため、喫煙者は屋外に出て一服することになる。Full Moon/Attic Barの広々とした中庭には木製テーブルと長いすが数多く並べられており、一息つきたいオーディエンスにも十分に対応できる。夏の気配が完全に消え去ったブリストルは厚着をしないと肌寒く、この日はうっすらと雨も降っていた。しかし、多くの人たちが談笑したり、設置されていたフードブースで暖を取ったりと、思い思いに時間を過ごしていた。 フロアに戻るとTriggaをMCに迎えたChimpoによるグライムチューン”Who Run Tingz”がプレイされていた。DJブースにいたのはPart2Styleのふたり。グライム~ダンスホール~メロウな歌モノとジャンルを横断するフック満載のセットを組むMaLの横では、フロアを高揚に導こうとNisi-pがマイクで煽っていた。未発表トラックを織り交ぜ、随所にサウンドエフェクトを散りばめながら進行していく彼らのセットはAttic Barに集まったオーディエンスの心にも届いたことだろう。当日の客層は若く、かなりハイになって汗を滲ませていた人もいた。会場が中心街近くに位置していることもあり、多様な客層が集まりやすいのが、この会場が持つ特徴のひとつだ。当日は全体を通じてジャンルの垣根を超えたトラックが飛び交っており、雑多な魅力を持つ同会場ならではの一夜だったと言えるかもしれない。
RA