Local Artist - Feelings

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  • カナダのMood HutとペッカムのレーベルRhythm Sectionが繋がるのは必然だったと言えるだろう。何しろ、Rhythm SectionのBradley Zeroは2時間のラジオショーを丸々、Mood Hutに捧げたことがある他、Mood Hutのメンバーもビリヤード場で行われる彼のパーティーにしばしば出演しフロアを彩っている間柄だ。しかし、それでも「Feelings」には嬉しい驚きがある。それは単純に作品が非常に素晴らしいからだ。Anthony NaplesのProibitoからLocal Artistが発表した4曲入りの前作は秀逸ではあったが印象に残るものではなかった。比べて、Local Artistの豊かな音使いとじわじわと増していく魅力を伴った今回の「Feelings」はかなり素晴らしい。 今回のトラック3曲はそれほど多くを語ろうとはしない。それは少量のパーカッション、コード、ベースラインだけで十分によしとするような素材の少なさだけでなく、優しい抱擁を音楽で表したかのようなメッセージ面にも表れている。この控えめな性質こそ本作で最も素晴らしい点かもしれない。何も心配することなく自由にシャッフルする"Feelings"では、パーカッションと艶やかなコードが時折ディレイによってぼやけたり、エコーが小さく爆発しているようなサウンドを鳴らしている。2音から成るグルーヴから稀にベースがコケティッシュに飛び出してくることもあるが、ちゃんと元の場所に再び丁寧に収まっている。緩いスウィング感にスパイキーなベースギターでアクセントを付けた"Ozone"はさらに素晴らしいかもしれない。生演奏に聞こえるドラムはMood HutのクラシックであるJack Jの「Looking Forward To You」を彷彿とさせ、夏のまったりとした感覚が共通している。"Place I"ではグルーヴがフラットになっているが、トラックにシンセを見事に滲ませている。けだるく口ずさまれる歌声(おそらくLocal Artist自身によるものだろう)以外にトラックのヒプノティックなグルーヴを妨げるものはほとんどない。このトラックがリキッドベースラインを真似ようとしているならば、いい仕事をしているとは言えないが、幸いなのは、Local Artistの世界における普通の仕上がりは、一般的にはベストの仕上がりを意味していることだ。
  • Tracklist
      A1 Feelings (Digital Dub) A2 Ozone B1 Place I
RA