Akkord - HTH035

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  • Akkordが繰り出す鋭利なビートのパワーは何人も寄せ付けない。「ドラムンベースとテクノにおける装飾を排する姿勢を組み合わせる」というSynkroとIndigoが構想するアイデアの単純明快ぶりを考えれば、この点はさらに印象深い。2013年にデビューアルバムを発表するまでに、彼らは実に見事にこのアイデアを実践してきた。続く4曲入りEP「HTH020」では、さらに突き詰めたサウンドが展開されたにも関わらず、何故か注目を集めることなく見落とされてしまっていた。そこで今回、Houndstoothがその4曲にリミックス4曲(新旧2曲ずつ)を追加し、1つのパッケージとしてまとめ上げた。 「HTH020」の4曲では、張り詰めた静寂と急襲するダイナミクスに満ちた最良のAkkordを聴くことができる。"Gravure"と"Greyscale"は、ダブステップの影響を取り入れていた1枚目のEPまで遡っている。前者のスイング感は遮るもの全てに荒々しくぶつかっているかのようだ。一方、"Greyscale"にはトリップホップの無気力感があり、シンセやドラムブレイクが挿入されるたびに、途方も無い重力が発生している。他2曲をコントロールしているのはブレイクビーツだ。"Continuum"でのブレイクビーツは、浮遊状態で宙返りしているような動きを見せ、"Typeface"では、きっちりと打ち込まれたテクノへとドラムが組み上げられ、2人の混沌としたサウンドに対する傾向を決定づけている。 複数の原曲から素材を使っている点は、4人のリミキサー全員に共通しており、よりオリジナルに近い印象を生み出している。Vatican Shadowのトラックは、いつも通り、痛ましいサウンドを坦々と刻んでいるが、普段のざらついたサウンドに代わって、Akkordの研ぎ澄まされたテクスチャーが取り込まれている。"Whip Hand Mix"を担当したRegisは、原曲のリズムをぬかるむ鼓動へと引きずり込んだ。Haxan Cloakのリミックスは「HTH020」を丸々解体し、Akkordのメタリックなサウンドを基調に引き裂く様なグリッチエフェクトと拷問のようなリズムを生み出しながら、10分間に渡って不安と恐怖が渦巻くハウストラックへと再構築している。Tri Angleからもリリースを重ねる盟友Fisによる"Hayfield To New Mills Version"は、奇妙な牧歌性があり、Akkordのトラックで盛り上げを演出している歯切れの良いノイズを使って、フォーク楽器の演奏パートに対するコントラストを作り上げている。"DMT Usher"をさらに壊滅的にしたような仕上がりだ。どのトラックもリミックスという範疇を超えた逸品となっており、Houndstoothのキュレーション能力の高さ、そして、Akoordの原曲の力強さを物語っている。
  • Tracklist
      01. Gravure 02. Continuum 03. Typeface 04. Greyscale 05. HTH020 (The Haxan Cloak's Cloud Of Witness) 06. Typeface / Greyscale (Vatican Shadow's The World Is Complete) 07. Gravure / Continuum (Fis Hayfield To New Mills Version) 08. Gravure / Continuum (Regis Whip Hand Mix)
RA