Various - Live At Robert Johnson: The Lifesaver 2 Compilation

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  • KompaktやInnvervisionsなどドイツの素晴らしいレーベルの多くは、ダンスミュージックに対し顕著なまでにオープンな姿勢を貫いている。インディーやポップスからの影響を取り入れたり、コスミックディスコからクラシックまで全ての音楽に触れてみたりと、彼らは遊び心のある創造性を発揮できる真っ白なキャンバスとしてクラブミュージックを扱っている。ジャンル至上主義者にとっては、この点は癇に障るところかもしれない。こうしたレーベルが「かっこよく思われる」だとか、信頼性だとか、そういったことを変に意識することは一度も無かった。 レーベルLive At Robert Johnsonが発表するオリジナル楽曲は、巧妙かつ独特で、あからさまにメロディックなダンスミュージック、という路線を開拓してきた。レーベルはその時々に流行している音楽に対して常に斜めの視点から切り込んでいるが、『Lifesaver 2』ほど、その姿勢が表れている作品はこれまでに無かった。本作には80年代のシンセサウンドが大量に盛り込まれており、往々にして2004年頃のディスコパンクシーンにおけるトラックものを彷彿とさせる。例えば、Lauerによる傑作"Language"は、The Hackerのニューウェーブにインスパイアされたテクノと類似しているし、Orson Wellsの"Digital Revolution"は、ごろごろと唸るベースシンセをよりコズミッシェな方向性で用いている。Benedikt Freyの"Brainwashed"では、ダンスフロアのダイナミクスを操る卓越した能力が示されているが、熱狂的でトロピカルなリズムとジャッキンなシカゴサウンドのループ、そして、レトロなシンセに合わせて小刻みに揺れ動くにつれ、Hot Chip作品でお馴染みの愉快なグルーヴのように聞こえてくる。 Massimiliano Pagliaraによる"Phasing Down The Sea"、TCBによる瑞々しいアンビエント風トラック"Byrdmap"など、もっとオーソドックスなハウストラックも本作には収録されている。しかし、『Lifesaver 2』で最も素晴らしいのは、やはり、流行に沿わないスタイルで捧げられるオマージュだろう。Chinaskiの"Future Sex"における滑らかさ、Roman Flügelが巻き起こすネオエレクトロの暴動"Tener Hooligan"での素晴らしきバカバカしさ、そのいずれにせよ、『Lifesaver 2』はサウンド面と精神面において、クラブミュージックというものがまだ凝り固まっていなかった頃の比較的無垢な時代を踏襲している。その点で、本作から感じられる衝動は普遍なのだろう。
  • Tracklist
      01. Orson Wells - Digital Revolution 02. Massimiliano Pagliara - Phasing Down The Sea 03. Lauer - Language 04. Roman Flügel - Tender Hooligan 05. Chinaski - Futuresex 06. Portable feat. Lcio - Dive In 07. TCB - Byrdmap 08. Benedikt Frey - Brainwashed
RA