Asusu - Serra

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  • Livity Sound作品の中で、どちらかというと従来に近い興奮を届けているのがAsusuだ。真夜中のアンセム"Sister"と"Velez"は共に、一般的なテクノに近いトラックだが、トラックが持つひんやりとした鋭さはLivity Soundのサウンドにしっかりと収まるものだ。しかし、彼はLivity Soundの中でもぶっ飛んだ作品の1つであるPevとのコラボレーション作"Surge"も手掛けている。けたたましいモジュラーシンセサウンドがダンスフロアを扇動していくトラックだ。おそらく、こうした万能性が何より彼の作品を際立させているのだろう。Asusuの最新12インチからも、そのことがハッキリとうかがえる。本作で彼はさらに奥深い領域を切り開いた。 Asusuの新レーベルとなるImpasseの第1弾「Serra」の1曲目に収録されたタイトルトラックは、馴染みのあるサウンドだ。削ぎ落とされたビートは、Livity Soundの伝統とも言える。トラックをサポートするパーカッションと美しく削り出されたホワイトノイズの間をモノトーンなサウンドが次々と飛び交っている。最初は、隙間だらけなトラックという印象だが、入れ替わるように際立つ各素材のしなやかさによって、すぐに陶酔性が生まれ始める。他の収録曲はビートレスになっており、Asusuの新たな一面を見せているが、彼にとっては珍しいことだ。"Anglo Skin"と"Arrhythmia"は共に、シンセサイズによるアンビエントトラックで、時折、干渉音が波打つように挿入される様は、Vladislav Delayを彷彿とさせるが、その亜流で終わるこなく十分に洗練されている。それは"Low Art"でも同様だ。ディレイのプラグインが生み出す複雑で濃密な空間の中に、脳を揺さぶる金属音が包み込まれていく。どのトラックも絶妙で惹きこまれる何かがある。どうやら、Asusuは何をやっても下手は打つことはないようだ。
  • Tracklist
      A1 Serra A2 Anglo Skin B1 Arrhythmia B2 Low Art
RA