Len Leise - Music For Forests

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  • International Feelからのリリースには、大抵何かしらの裏話が隠れているが、今回のLen Leiseによる12インチの裏話も俄かには信じがたい。レーベルのボスMark Barrottによると、彼は『Songs For Sunsets』というLeise(元ライブラリー・ミュージックの制作者でパリの店に勤めていた)のカセット作品を買ったことが、今回のリリースのきっかけになったそうだ。トロピカルで惹きつけられるシンセとシンプルなドラムマシンをフィーチャーしたこの作品を聴いて、リイシューしたいと思ったBarrottは、Leiseが住んでいると噂されていたシドニーに住む友人に連絡を取り、情報を手繰り寄せた結果、Leiseを見つけることに成功した。しかし『Songs For Sunsets』のマスターはこの世にもう存在しないことを告げられたBarrott。それでも彼は最終的にLeiseを説得してInternational Feelの新作をレコーディングしてもらうことになった、という話だ。 この裏話は別にして、「Music For Forests」を1度聴けば、Leiseの楽曲がInternational Feelのサウンドとして相応しいこと、ひいては、Barrottがいち早くそのことを見抜いていたことが分かる。例えば、音数を散らした"Phantom Voyagers"では、彼方で鳥がさえずり、太陽の光を目いっぱいに浴びたパーカッションが闊歩する中、その周囲では、砂浜を駆けるサックスが漂っているし、また、"Seed Of The Blushwoo"では、ゆっくりと浸透していくハンドドラムと朝焼けの鐘の音をフィーチャーしている。寂しげなトライバル・ボイスを用いた"Dance Of The Ghost"は、ジャングルで迷子になったようなサイケデリアだ。 そして、"A Bend In The River"では、広々としていながら静けさが漂う中、不気味ですらあるメインモチーフからハンドドラムが刻まれる音が聞こえてくる。一方、ゆらりと立ち上がる複数のシンセ、波打つサウンド、気だるいフルートをブレンドした"Sea Of Trees"は、ソフトジャズ・タッチを取り入れた気ままなトラックとなっている。延べ30分強に及ぶ「Music For Forests」のサウンドは、Barrottの『Sketches From An Island』における緩いバレアリックな視点が広がる世界と、Steve Roachの『Dreamtime Return』における見晴らしの良い空間との間に架かった橋のようだ。年末にリリースされた本作は、再び人気を獲得することとなったイビザのレーベルInternational Feelの2014年を締めくくるに相応しい作品となった。
  • Tracklist
      A1 Seed Of The Blushwood A2 Phantom Voyagers B1 Dance Of The Ghosts B2 A Bend In The River B3 Sea Of Trees
RA