UGFY / nubo - Atom Tears EP

  • Share
  • 様々な音楽とパーティーが生まれる東京のシーンにて、また期待すべきユニットがその才能を萌芽させようとしている。青山Oathでハウス・ミュージックのパーティーとして定着しているUgly.を主宰しDJとして活躍中のYou Forgot、そしてNubo名義でも楽曲制作を行うトラックメーカーのYuji Namiki、その二人が組んだユニットがUGFYであり、遂にUGFY Recordsを立ち上げて初のアナログ作品を完成させた。 デトロイト・ハウスやテクノ、ビートダウンやヒップ・ホップに影響を受けたと公言している二人だが、特に本作に顕著に現れた影響はTheo ParrishやKyle Hallといった錆び付いたロウな質感と熱きソウルフルな感情を持ち合わせたアーティストからのもので、彼等のデトロイトに対する偏愛が見事に作品へと結実している。UGFY名義での"Atom Tears"は既にYou Forgotがパーティーで幾度となくプレイしている曲だが、ロウな質感の野太いビートが貫く中から浮かび上がってくるピアノの旋律は、激しい嵐が吹き荒れるフロアの中でひっそりと咲く花のように儚くも美しく、暗闇のフロアに深遠な小宇宙を生み出すようだ。対してNuboによる"T.O.P. Dance ###1"は金属がひしゃげるような強烈なビートを叩き出すテクノで、DJ仕様に微妙な変化を続けるミニマルな展開となっているが、途中から入ってくる野蛮なボイス・サンプルが上手くピークを作り出している。またUGFY名義となる"Soul Dancing"もけたたましく荒れ狂うリズムが主導するロウ・ハウスで、ひたすらざらついたパーカッションが乱れ撃つ中から、いつしかジャズのサンプリングのようなループが浮かび上がってくる展開に熱さが込み上げる。本作はマスタリングで敢えてカセットテープを用いてアナログの感覚を打ち出したようで、その篭った音の鳴りが上手くロウ・ハウス的な質感へと繋がり、荒いビートをより強調する事に繋がっているのだろう。勿論まだ彼等が尊敬する先人達の影響下を抜け出している訳ではないが、デビュー作として今後の方向性を正確に指し示しており、今後の音楽活動に期待させられる作品となっている。
  • Tracklist
      A1 UGFY - atom tears B1 nubo - T.O.P. DANCE ###1 B2 UGFY - SOUL DANCING
RA