HTRK - Body Lotion

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  • オーストラリアの2人組HTRKによる傑作『Psychic 9-5 Club』は2014年のベストアルバムの1つだ。このアルバムにより彼らに興味を持つ人が一気に増えたことで、今回のEPに注目が集まることが約束されることとなったわけだが、それで片付けるにはあまりにも多くのことが本作で起こっている。まず1つ目は収集心をくすぐる美しいジャケットを纏った本作のパッケージだ。本作を発表しているベルギーのレーベルSleeperhold Publicationsは厳格な取り決めに則って作品を世に送り出しているのだが、彼らは「アートの様々な領域に渡る10の作品を発表し、活動を停止する」と自らの活動目的を宣言している。これまで写真集、ポスターセット、カードセット、ショートストーリーを送りだしてきた彼らが、10枚のレコードをリリースする段階に差し掛かったというわけだ。「Body Lotion」ではAサイドにのみ音楽が収録され、BサイドにはHTRKと古くから関わってきたロンドン在住のアーティストDavid Ferrando Girautによるエッチングが彫り込まれている。この取り組みは今後リリースされるレコード全てに対しても行われるそうだ。 2つ目はHTRKが音楽的に今どこに位置付けられるのかを示すサウンドが収められていることだ。「Body Lotion」は2011年のアルバム『Work (work, work)』からの3曲を収めたEPで、なかなか高度なサウンドが展開されているが、それでも『Psychic 9-5 Club』の壮大さがそこはかとなく感じられる。『Psychic 9-5 Club』で聞くことの出来た壮大なドラムとボーカルは「Body Lotion」においても健在だが、異なっているのは今回はRobin Guthrie風の深く厚みのあるギターサウンドに組み合わされていることだ。この好例となっているのが"Sugar"と"Body Lotion"で、ディストーションによる心地よいサウンドを奏でるギターがトラックの隅々にまで浸透している。"Punch"では、背景で鳴っているサウンドが絶妙で、Jonnine Standishの声に活き活きとした響きを与えている。HTRKがこの数年間でやってきたサウンドを最も如実かつ明確に打ち出したトラックだ。
  • Tracklist
      A1 Sugar A2 Punch A3 Body Lotion
RA