Hinode - Science Fiction Recordings 003

  • Share
  • Hinodeはベルリンを拠点に活動するイタリア人Matteo ChisariとMario Restaによるユニットだ。今年初めに彼らはセルフレーベルScience Fiction Recordingsをスタートしたが、実は2人のデビューEPはEnlightened Waxから発表されている。Enlightened WaxはAnalogue Copsの1/2である同郷のMarieuが主宰するレーベルだ。2人が提供した「Punch In The Face」における騒がしく荒い音色のディスコハウスはCopsの作品に似た文脈にあり、しっかりとEnlightened Waxというレーベルを意識して制作されたトラックのように感じられた。しかし、Science Fiction Recordingsからの第3弾となる本作では2人はよりディープで精密な方向性へと進み、自分たちのサウンドがどれだけ成長したのかを披露しているようだ。 1曲目"Objective Collapse Theory"では、刻まれるハイハットとこもったラジオの声、そしてうねるコードが生み出す霧の中をトラックが駆け抜けており、焦燥感を醸し出す空間がなんとも心地よい。"Musicology"も同様の素材から制作されているが、こちらはブロークンビーツとアシッド風味のベースラインが取り入れられている。彼方から聞こえてくるピアノが絶妙な味わいをトラックに与えているが、中盤で用いられている悲しげなサックスは若干狙い過ぎた印象になってしまっている。逆サイドの"Cognitive Dissonance"は、間違いなくフロアに大打撃をもたらすであろう攻撃的なエレクトロだ。熱気を帯びたスネアがざらついた雰囲気を飲み込んでいくことで、楽曲にエネルギーが保たれている。そして本作を締めくくるのはXDBによって見事に音数を抑えこんだリワークだ。オリジナルバージョンの不気味な雰囲気を直線的なパーカッションのアレンジメントに組み合わせている。
  • Tracklist
      A1 Objective Collapse Theory A2 Musicology B1 Cognitive Dissonance B2 Cognitive Dissonance (XDB Remix)
RA