T.B. Arthur - 3

  • Published
    Jan 27, 2015
  • Label
    White label
    TESTPRESSING3
  • Released
    December 2014
  • Genre
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  • テクノアーティストですら空想の人物を生み出すことはしないだろう。この作品を聞いてみてほしい。Clone、Rush Hour、Hard Waxといった店に出現している謎に満ちた一連のレコードだ。アーティスト名はT.B. Arthur。そしてレコードはテストプレスのような体裁だ。聞くところによると、どこかの倉庫で実際に見つかったテストプレスを再プレスしているそうだ。「レコーディングは90年代に行われたが、経済的な問題でテストプレスの段階で進行が止まっていた。アーティストは借金を抱えたままシーンから完全に姿を消し、その正体は不明だ」と、プレスリリースには記されている。T.B. Arthurの正体が誰であるかはさておき、現在、彼は自分の音楽を一般に向けて発信している。彼はFacebookのページミュージックビデオをやっているのだ。正体不明という設定にしては精細さに欠けるが、センスの良い演出もやっていて、ジャケットに書かれてあるアメリカの電話番号に電話すると「こちらはTest Pressing Chicagoです。今あなたがお聞きになっているのはT.B. Arthurの未発表音源です」という留守番メッセージが流れるようになっている。 しかし、こうしたギミックに捕らわれ過ぎてはいけない。大事なのはT.B. Arthurのテストプレスはこれまで最高だということだ。そして先月リリースされた3枚目は、BPM120以下でヘビーにループするリズムを用いた生々しいアシッド(しかし無酸性)だ。サウンドデザインは全曲通して素晴らしく、聞き馴染みのないサウンドがドラムそのものや、ドラムが纏う奇妙な勢いを演出しており、その大部分が言葉で言い表されることを拒絶している。トラックはかなり実用的なのに、ガツンとくるものがあり、豊かなテクスチャーを持ち合わせ、オフビートな個性が詰まっている。T.B. Arthurが誰であろうと、彼は素晴らしいものを持っているのは間違いない。
  • Tracklist
      A1 Untitled A2 Untitled B1 Untitled B2 Untitled
RA