Blacknecks - Blacknecks 006

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  • Blacknecks名義において、TrussとBleaching Agentはテクノのシリアスな性質を小馬鹿にしてきている。彼らは"Four Cunts & A Badge"と"Death Before Easternders"といったタイトルを付けた馬鹿みたいにハードなビートを吐き出しているのだ。そのサウンドは形式的にはTrussの別プロジェクトMPIA3と比較出来るかもしれないが、このイギリス人2人が一緒になると「分かってるでしょ」と言わんばかりの茶目っ気溢れるメロディを用いて制作するのが特徴的だ。このメロディは2人がリリースした6枚目のEP(2枚組の大ボリュームで届けられた本作はどうやらこのプロジェクトの完結作のようだ)でも最も強力な要素となっているし、おかしなセンスにもますます磨きがかかっている。カバー・アートには、浮かれた内容の手紙を読み上げて"Stunning Gurn"(びっくり仰天顔、という意)といったタイトルやリリースをアナウンスする男(?)が描かれている。また本作では2人の能力が最も多様に発揮されており、ダンス・ミュージックにこの手のユーモアを持ち込むことは必ずしもクオリティと引き換えになるわけではないことを示している。 "Moon Over Rotheram"や"Stunning Gurn"では、いつもの2人らしいおバカなアグレッシブさをフィーチャーしている。共にけばけばしく腹にズンとくるトラックだが、1曲目に収録されている前者の展開には跳ね感があり、後者ではマンガのような爆撃和音が用いられている。Blacknecksが今にも爆発してしまいそうに聞こえるのが"Powerhole Gloryhole"だ。巨大で不均等なコードが中域をべちゃべちゃと撒き散らしていく。"Spudgun" Dave Hedgehog"の波紋状のグルーヴは木造テクノのようなサウンドだ。どのトラックも巨体漢だが、一元的であることは滅多にない。"Easy Lionel"では跳ねるビートと陽気なメロディによってサウンドを開放しており、"Funkytown"をリミックスして焼け野原にしたかのようだ。そして同じことが"Don't Do It Be It"でも繰り返されている。忘れ去られたプログレッシブ・ハウスのプロデューサーから届いたDATテープを聞いているかのようなニュー・エイジなスリラーだ・ しかし、どんなにBlacknecksのサウンドがラフであっても、彼らは単にメロディを削岩機に放り込むようなことはしない。"Don't Do It Be It"は実にポップな感性があり、皮肉っぽさは無く、ただただキラー・チューンなのだ。同じことが"Don't Say It's Goodbye"にも言える。劇的な個性を持った盛り上がり必至のトラックだ。このバランスがあるからこそ「Blacknecks 006」は2人の音楽性が最も表れたリリースに感じられるのだろう。"Clubbing"はさらにバカっぽく、Weird Alスタイルのパロディとなっている。留守番電話の会話のサンプルとロボット声のナレーションを用いたこのトラックは自意識過剰なフューチャリスティック・エレクトロを笑い物にしている。しかし、そうしたギミックはさておき、このトラックもBlacknecksの全作品と同じく威圧的だ。
  • Tracklist
      A1 Moon Over Rotheram A2 Easy Lionel B1 Stunning Gurn B2 Don't Dream It Be It C1 Powerhole Gloryhole C2 Spudgun! Dave Hedgehog! D1 Don't Say It's Goodbye D2 Clubbing
RA