Various - Bloodlines

  • Share
  • Anthony Parasoleの音楽はキャラクターという点ではニューヨーク的かもしれない。しかし、ヨーロッパ中のテクノ・パーティーでフィーチャーされている昨今の彼は世界的な注目の的となっている。このことは本人が意識していたかどうかは関係なく、彼のレーベルからリリースされる最新作にも反映されている。アメリカ西海岸に住むSilent Servantによる乾いたポストパンク・スタイル、そしてParasoleの地元から遠く離れた場所にある第2のホームOstgut Tonの看板男Marcel Dettmann。本作はBig Apple内で謙虚な存在であるParasoleのキャラクターを東西にまでつなげ合っているのだ。その結果、大満足の3曲入りEPに仕上がっており、The Cornerのラフな世界観がしっかりと打ち立てられ活性化している。 パッと聞いた感じだと、Dettmannの"Take One"はいつも通りのゴリっとした印象だ。ごつごつとした石が柔らかな肌の上にあるかのように、不協和音がグルーヴを擦りつけている。しかし、このトラックをしっかりと聞いていくと、ピッチを落とした気味の悪い声がガス会社と電気会社の宣伝をしていることに気付くだろう。こうした脈絡の無いいたずら心はThe Cournerだと上手くハマるようだ。このトラックと見事にパートナーになっているのがParasole自身による"Intel"だ。同様に神経に触る乾いたトラックで、声を用いているところも同じだが、"Intel"の声はボロボロになったテープ・マシンでラジオの電波をプレイバックしているかのようで、音が何度も途切れている。Silent Servantの"Mechanics Of Emotion"は飛びぬけて奇妙なトラックだ。ざらついたマシン・ファンクがよりダークで豊かな質感へと移り変わっていく。ここでも声が使われているが今回はディレイに浸し込まれており、中距離で擦られ悲しく甲高い声をあげるギターも加えられている。後半になって単音シンセによるメロディが入ってくると、殺伐とした中に真の美しさが存在する場面へと誘われる。
  • Tracklist
      A1 Marcel Dettmann - Take One B1 Silent Servant - Mechanics Of Emotion B2 Anthony Parasole - Intel
RA