Lakker - Mountain Divide

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  • 今年の上半期にアイルランドの2人組LakkerがR&Sから発表したデビュー作は獣のようにバンギン・モードで、かつてのR&Sを彷彿とさせる制約の無いテクノを見事に体現していた。このベルギーのレーベルから2枚目のリリースとなる本作でも、Lakkerは同様の要素を用いているが、今回はより奇妙な仕上がりになっている。収録のトラック2つと1つのインタールードにて2人はエネルギーを内側に向けて送り込んでおり、業火の如く獰猛に燃え上がらせているのだ。 壮大な輝きと共に8分間に渡って解き放たれる"Mountain Divide"は、スケール面とサウンド・デザイン面においてLakkerの新記録となるトラックだ。彼らのトラックはこれまでにも常に聞き心地が良い要素があったが、このトラックでのディストーションの満ち干の制御ぶりは見事だ。聞く者を圧倒するのに十分なフィジカル性があるが、決して耳に痛くない。その背後では明るいメロディがごろつき、立ち上がってくるファズの波と共に大きくなっていく。まるで音素材が壮大なバトルを繰り広げているかのようだ。このサウンドと張り合うのは至難の業だが、LakkerらしさのあるIDMトラック"Mathfall"が見事に立ち向かっている。激しい打撃力を持っていながら広々としており、蔦のように巻き付く歪んだシンセとウォブリーな低周波による土台が今にも崩壊しそうにトラックを支えている様は、今年発表されたEomacのソロLPのハイライトを思い起こさせる。白昼夢のようなショート・トラック"Monia"は比較して特筆すべき点はないが、"Mathfall"と"Mountain Divide"の2つだけでも本作は素晴らしいと言えるだろう。
  • Tracklist
      A1 Mountain Divide B1 Math Fall B2 Monla
RA