Daphni and Floating Points in Barcelona

  • Share
  • 絵本に描いたような景観を持つバルセロナの街の中でも、El Poble Espanyol内にあるEl Monasterioは一際美しい音楽ヴェニューである。1929年の万国博覧会の為、街の西側に位置するモンジュイックの丘の中に建設されたEl Poble Espanyolは、117戸の建物や建築博物館からなる小さな村のような場所だ。El Monasterioは、この村にある小さな美しい修道院。庭園に囲まれ、街の絶景を背景にしたロケーションでは時折仮設ステージが組まれ、音楽イベントが行われている。以前は、Sónarの時期に音楽目的で使用されるのみだったのだが(今年はRAのパーティーもここで開催している)、今回のイベントの成功によって、El Monasterioへの注目は今まで以上に高まっており、今後この街のエレクトロニックミュージックシーンにおける定番スポットとなることが必至だ。 もし上述のことが実現すれば、この日El Monasterioにいたオーディエンス達は、今回のイベントが幸先の良いスタートであったと振り返るはずだ。DaphniとFloating Pointsは、サポートアクト無しで6時間ものB2Bセットを敢行した。彼らはいずれもDJとして、テクニックに長けているというよりかは、申し分のないテイストと判断力を持つミュージックセレクターとして知られている。太陽の光と美しい景色の中で音楽を聴くという環境の中で、両者共に自分達の素質を十分に発揮していたからか、技術面に関してはそこまで重要ではないように感じられた。 この日のイベントは午後6時から始まった。まだ日が出ているうちは、2人のプレイは軽快なディスコ・ソウルに集中していた。Xander Milneの“NY Theme (GQ & Theo Parrish Tribute)”は前半のハイライトだった。夕暮れ時からは、Delia Gonzalez & Gavin Russom “Relevee”のCarl Craigによるhypnotic remixを筆頭に、ハウスとテクノにフォーカス。終盤は、Jo Bissoの“Love Somebody”や、Sylvesterの“Over And Over”などのとろけそうに甘いソウル/ディスコカットと、Joy Orbisonの“Ellipsis”や、Gold Pandaの緩やかなトラック“Quitters Raga”、そしてDaphni自身による必殺チューン“Ye Ye”など、ヒット曲満載の時間帯であった。しかし、この日の最後を締めくくったのはソウルミュージックである。Nina Simoneの“Funkier Than A Mosquito's Tweeter”、そしGloria Ann Taylorの“Love Is A Hurting”の美しい歌声が、煌めく夜空に響き渡った。このヴェニューがバルセロナの新たな人気スポットとなるだろうと確信が持てるような、素晴らしい夏の一夜を体験することができた。 Photo credit: Sara
RA