2 Bitches From Queens - The Dip

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  • H.O.T. Recordsに携わっている人が誰なのかについてハッキリと明かすことは出来ないが、ベルリンで開催されているパーティーHomopatikとオッフェンバッハのクラブRobert Johnsonが関わっているコレクティブだということだけは言っておこう。そのプロダクション・チームである2 Bitches From Queensは、2人のDJとプロデューサーから成るプロジェクトだが、Bitchでもなければ、Queens出身であるわけでもない(もっとも、Bitchの定義によるかもしれないが...)6月に彼らは2枚のレコードを1週間おきにリリースした。その1枚目は筆者の耳にとって今年発表された12インチのハウスの中でベストと言えるものだ。 収録された4つのトラックは全てDJツールだ。装飾は一切ないが大きくドライブ感があり、シンプルなフックを用いることで素晴らしい個性が与えられている。"The Dip"をこれほど素敵なものにしているのが何かということを的確に表現することは難しい。このトラックは単に、軽快でボトムの効いたビートに時折シンセの短音と「work it」という声が添えられているだけだ。しかし、聞いた瞬間にミックスしたくなる衝動に駆り立てられるし、そうでなくとも心拍数が高まるのは確実だろう。"Women On Drums"は若干、肉付けが施されており、鋭いハイハットとストロボ・ライトのような単音コード、そして80年代のニューヨーク・ダンス・クラシック"The Dominatrix Sleeps Tonight"からサンプルした「women beat on the drums」というボーカル・フレーズが用いられている。 しかし今回、まさに神業と言えるのが"Delkab Ave"だ。記憶に残るほどシンプルなビート・ツールだが、"The Dip"と同様、このトラックもほとんどがドラム素材だ。太いキックにシェイカーとカウベルといったハンド・パーカッションが加えられており、そこへぶっきらぼうな口調で「Chanté」と発音されることでトラック全体に活力がもたらされている。またボーナス・トラックとして、弾むベースラインを無しにしたバージョンも用意されている。結局のところ、このEPはシンプルな作品ということなのだが、完璧に処理されているだけでなく、聞く人を惹きつける魅力が詰まっている。ハウスDJがこれを逃したら、クレイジーになってしまうだろう。
  • Tracklist
      A1 The Dip A2 Women On Drums B1 Delkab Ave (Bass Mix) B2 Delkab Ave (Beat Mix)
RA