- Atelier Recordsは現在、小規模ながらディストリビューションを兼任している。SuedやSex Tags系列のレーベルなど、アーティスト同士のネットワークを通じて、互いにDIYな業態を構築している点は、多くのディストリビューターが大きな転換を迫られる中、これからの流通形態の在り方の1つを示唆していると言えるかもしれない。6枚のキワモノ・リリースを重ねてきたこのレーベルから派生したプロジェクトWirrの第1弾となる本作には、Atelier Recordsに2枚の作品を残しているAdopoと、謎に包まれた新アーティストFlexiとBlendiのトラックがコンパイルされている。
これまでレーベルが展開してきた特徴の1つであるエレクトロの実験性と素材選びのレフトフィールドぶりが本作にも共通しており、"A1"を担当したFlexiのトラックでは、控えめながらもクセになるアシッドなベース・リフと共に、多彩なSEが次々と用いられている。ハイハットで疾走感を演出したBlendiによる"A2"も、"A1"同様、リズム自体には大きな変化はないものの、パッド・シンセや、SE、ボイスを効果的に用いることで、じわじわと緊張感を増している。Bサイドの2曲を手がけたAdopoは、過去の作品よりもリズミカルなトラックを提供しており、高速BPMトラック"B1"では、深みにハマって抜け出せなくなりそうになるアンビエンスに意識が惹きつけられる中、ハイハットのアクセントと音量に加えられる変化が大きな効果をもたらしている。そしてAtelier Records史上、異質なまでにフロア仕様のトラックとなっているのが"B2"だ。うねるベースラインとサブ・ベースによるグルーヴを土台に、ボイス・サンプルとカッティング気味のギター・サウンドを点在させたシンプルな構造は、大音量でのプレイで効果を発揮しそうだ。
TracklistA1 flexi
A2 blendi
B1 adopo
B2 adopo