Gunnar Haslam - Let A Hundred Flowers Bloom

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  • もしかしたらGunnar Haslamという名前には個性がないと言えるかもしれないが、彼の音楽はその真逆である。L.I.E.S.からのデビューLPや、Argotから発表したフロア仕様の作品において、ニューヨークを拠点とするプロデューサーである彼は、一貫性のある素晴らしいサウンドを提示している。この一貫性は時に、楽器要素を再利用することで実現されているが、不吉な感覚を漂わせることに成り立っていることの方が多い。「Let A hundred Flowers Bloom」は、Haslamにとって初となるMister Saturday Nightからのリリースであり、レーベルにとって初となる10インチでのリリースだ。そのパッケージのあり方や収録内容は、ダンス・フロアの中心から外れていこうとしていること示唆している。 "Let A Hundred Flowers Bloom"は、1950年代の中国における反体制派を根絶することを目的とした毛沢東派によるキャンペーンのことを指している。そしてこのトラックは、しわがれたようなドローン・サウンドに挿入される不気味なボーカル・サンプルによって、恐怖や被害妄想といった空気感を獲得している。導入部としての機能という点において、このトラックよりも優れたものはないだろう。"Discouraged"では、ダークな雰囲気と奇妙な組み合わせを成す陽気なドラム・パターンがフィーチャーされているが、埃を被った地下室から聞こえてくるようなメロディと感傷的なパーカッションによって、エモーショナルに展開していく。何度も聞いていると、Nathan Fakeの"The Sky Was Pink"をリズミカルにしてアップデートしたかのようにさえ感じるほどだ。最後に収録された"Denominarione Version"では、誰も知らない場所へと進んでいく電車のようにカタカタと何度もサウンドが鳴り響いている。このEPは、これまでMister Saturday Nightがリリースした中で最もダークな作品だが、全くもってスリリングだ。
  • Tracklist
      A1 Let a Hundred Flowers Bloom A2 Discouraged B1 Denominazione Version
RA