- Livity Soundによる完璧な人選のリミックス・シリーズ。その最新作は、通好みのハウス・ミュージックを生み出す強力デュオ2組によるものだが、どちらのデュオも決してバンギンな作品で知られているわけではない。そのため、今回の緻密に仕上げられたリミックスの魅力に気付くのに、少々、時間がかかったとしても、それは驚くことではない。先日のMMMやSurgeonによるリミックスと比べれば特にそうだろう。MM/KM名義のもと今回の作業にあたったMix MupとKassem Mosseは、Kowtonの"More Games"をリミックスし、"More Names"と名付けている。ややがっかりなのは、彼らがオリジナル・バージョンで特徴的だった部分を使用しなかったことだ。あのグライム風のストリングスではなく、代わりにクリーンなブリープ音へと形を変えているのだ。そのサウンドとサイン波のベースラインを聞くと、オリジナル・バージョンでの衝撃が和らげられてしまっているのでは、と心配したくなるが、幸い、重心低めの分厚いハウス・ビートがずっしりと挿入されることで（自然なタイミングであるとは言えないが）幾分か挽回を果たしている。
しかし、本作を注目をさらうことになるのは、Dynamo DreesenとSVNによるDresvnによるリミックスだろう。それぞれレーベルAcidoとSUEDを運営する2人は、これまでにも自由気ままな作風を提示してきた。彼らは今回、AsusuによるFrozen Border風トラック"Too Much Time Has Passed"を、素敵なディープ・ハウスへと作り変えている。控えめなコード、ぴたぴたと繊細に刻まれるリズム、そしてサイケデリックな質感を施した処理は、森のざわめきを増幅したかのようなサウンドとなっている。このデュオによる以前の作品「Woodlandscene（木々のある場所）」は、ただ単にこの名前が付けられたわけではなかったということだろう。結果、このリミックスからは、オリジナル・バージョンとの関連性がほとんど見受けられないかもしれないが、さして問題となることではないだろう。
TracklistA1 Kowton - More Games (MM/KM More Names Remix)
B1 Asusu - Too Much Time Has Passed (Dresvn Remix)