Kennedy Smith - Super Score

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  • 純粋な意味でテクノというものがどうすれば素晴らしいものになるのかということを特定するのは難しい。一切の手がかりがなければ、何故テクノを聞くと鼓動が高ぶるのか理解しにくいものだ。自身のレーベルからデビューとなるKennedy Smithの作品を言葉にするのも同じく難しい。"Home (Main Visionary)"でのディープな重低域は楽器によって作られたものというよりも眠たげに呼吸をしている何かだと言った方が近い。その低域の上をリバーヴが立ち込める中、リズムが躍動している。単音でおぼろげに鳴らされるシンセがこだまする"High Spirit"ではエコー音が渦巻いており、そのシンセがほぼ唯一、認識可能なサウンドだ。"Related To The Brain Size"での低くうごめくリズムを切り裂く一閃の光はまるで雲海に轟く稲妻のようだ。 しかし「Super Score」を細かく分解してみてもあまり意味がない。大事なのは本作は全体的なアブストラクト性という意味で素晴らしい音楽であり、そのアブストラクト性があるからこそ素晴らしいという点だ。暖かくぼんやりとしており、まるで睡眠状態から覚醒しようとよじ登っているかのようだ。本作に収録されたトラックはどれもBerghainの午前5時にハマるものであり、ダンスフロアに1人きりになっていると感じるようなドリーム・ワールドが広がっている。
  • Tracklist
      A Home (Main Visionary) B1 Related To The Brain Size B2 High Spirit
RA