- FatimaがEgloからアルバムをリリースすることは2013年の5月に決定している話だ。それ以降、ゆっくりとしたペースではあるがシングル「Circle」にて新作を発表している他、かつてなく素晴らしくなってきている彼女のライブセットにおいても新曲を聴くことが出来る。そうした新曲は一貫して素晴らしいのだが、特に今回のEPは彼女のデビューアルバムが突出したものになるであろうことを強烈に示唆している。
前述のEPに収録された"Circle"ではEgloは普段とは異なる動きを見せていた。なぜなら、そのトラックは普段のクルーではなく外部のプロデューサーをフィーチャーしていたからだ。即効で引き寄せされてしまうビートを生み出すことで知られるSa-Ra Creative PartnersのShafiq HusaynとComputer Jayをフィーチャーしたこのトラックは見事に機能したと言える。今回の作品でも同様のトリックが仕掛けられており、「Family / La Neta」では、FatimaはfLakoと一緒に制作している。fLakoは特段Egloと関連が強いというわけではないのだが、素晴らしいトラックを世に送り出しているビートメーカーだ。甘美な響きを持つトラック"Family"は家族の喜びを歌ったものだ。サンプリングした素材と軽めのリム･ショットを組み合わせたfLacoのアレンジはこうした家庭的なテーマにしっかりとマッチしている。琴線に触れる表現力に溢れており、いつもどおりFatimaのジャジーなボーカルが輝きを見せている。
非常に面白くなっているのが"La Neta"だ。内省的なバラードから一転、テンポと拍子をなめらかに切り替え、フルスロットルにトラックをシャッフルした後、再びもとに戻る展開になっており、壮大でありながら同時に親密さを感じさせるトラックだ。ベストなのは"Black Dough"だろう。"La Neta"のような驚きの展開を直感的に生み出しており、熱狂的に駆け抜けるグライムのビートが展開していく中、Mario Brothersからサンプリングしたかのようなシンセが組み合わせられている。そしてテンションが沸点に到達した瞬間、トラックは滑るようなベースセクションへと変化していき、ソウルフルな輝きの中に美しく包まれていく。
TracklistA1 La Neta
A2 Family
B1 Black Dough
B2 Black Dough Instrumental