Alex Smoke - Dust

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  • 復活を遂げたアーメンブレイクは一風変わったもの扱いを受けていたが、勢いの衰えないレイブ再来の動きも伴って、今ではどこでも見かけることが出来るようになっている。現時点の段階では、それは単なる過去の模倣というよりも再加工というべきクリエイティブな過程にある。ハードコア黎明期を体験し熟知しているレーベルR&SからのAlex Smokeの最新作は、あれから20年経過したこのサウンドに対し3つの視点を提示している。 タイトル曲"Dust"はBasic Channelによるハードコアブレイクビーツのようなトラックで、反響するタムをダブ処理が施されたコードにより解きほぐし、スネアが持つざらついた質感を覆うエコー音が、固めのパーカッションとコントラストを成している。そして不穏な空気を含み、強烈に感情を揺れ動かすボーカルが認識出来ないほどにまで捻じ曲がっていく。"Ruction(Dub)"では不穏感は薄れており、Robag Wruhmeの作品のような非常に軽いドラム使いで始まる。原音の勢いを取り除いた反響音のようにパーカッションがはためき、その上を息の詰まるようなレイブサウンドが覆い尽くしていく。両曲は"Blood On My Hands"のVillalobosヴァージョンを彷彿とさせる圧迫感のある雰囲気がある。 Tesselaによる"Dust"リミックスでは、過去のサウンドに対し最もダイレクトにアプローチをしかけている。名曲Hackney Parrot"で披露したように、Ed Russellの手にかかれば、使い尽くされたサウンドでさえ新たな響きを持つようになる。ここにはアーメンブレイク、電波干渉ノイズ、レイブサウンド、そして分厚い808の鼓動がひしめき合い、これらの要素は突如、一点に集結し、再び方々へと散らばっていく。これは記憶に残るジャングルだ。しかしBurialのような見栄えの良い称賛の中にではない。表面下で煮え立つ暴力性と共にあるものだ。
  • Tracklist
      A Dust B1 Dust (Tessela Remix) B2 Ruction (Dub)
RA