- DJ Rashadのヴォーカル・サンプルの使い方は強烈だ。かの素晴らしき「Rollin'」に続き、このフットワーク・プロデューサーはヴォーカルの断片をまたしてもトラックの根幹に据え、加工と変化を繰り返してそれ自体をドラッギーな生命体へと生まれ変わらせている。タイトルトラックなどでは嘲笑うかのようなサンプル("I don't give a fuck… You ain't gonna be shit")を使いつつ、なよなよとしたパッドとは切り離しているが、小刻みなスネアとハイピッチな持続音ブリープが絡みはじめた時はまさに強烈というほかなく、そのテンションとドライブ感はぐいぐいと前に押し出されていく。
"Brighter Dayz"はさらに充実した仕上がりで、多幸感の強いハウストラックからサンプリングしたヴォーカルをダーティでダークに生まれ変わらせている。808グルーヴと鋭いハイハット、ジャングリスト・ブレイクを詰め込んだ疾走感あふれるパーカッションでありながら、せわしない感じはまったくない。じりじりと時間をかけて燃え広がるような前半を経て、"I Still Love You"というヴォイスが目眩のするようなハイピッチのシンセへと変化し、リズムが跳ねはじめる。Rashadは一見無意味にも聴こえるヴォーカル・サンプルに極端なコンプレッションをかけて反復させることで、別次元の痛烈なユーモアへと変貌させてみせる。"Rollin"での路線をとりわけ強く踏襲した"Way I Feel"は他のトラックに比べてもよりフック感が強い。メランコリックなコード、ディーヴァ・サンプル、比較的隙間を活かしたサウンドメイクも相まって、このEPを意外なほどにロマンティックなかたちで締めくくっている。
TracklistA1 DJ Rashad - I Don't Give A Fuck
A2 DJ Rashad & DJ Spinn - Brighter Dayz
B1 DJ Rashad & Freshmoon - Everybody
B2 DJ Manny & DJ Rashad - Way I Feel