- 昨年立ち上げられて以来、Blocks & EscherによるNarratives Musicはそのエレガントなアートワークやゆっくりだが着実なリリース・スケジュール、そしてもちろんその作品の精緻さを通してこれまでのドラムンベースに欠けていた優雅さを体現している。最もアグレッシブな展開でさえ、そこにはまるで良質なウィスキーをすすり込んだ時のような温もりがある。レイヴよりも、むしろ映画に似合うドラムンベースだと言っても良い。レーベル4枚目にしていよいよBlocks & Escherが満を持して初登場した本作では、すべてのエレメントが好ましい。
Overlookによる"Three Shards"はタフなトラックだが、その流体的なドラムに注ぎ込まれるシアトリカルなコードこそNarrativesらしさを体現している。甲高いベースラインやその他のメロディ的なエレメントは流れ星をスローモーションで眺めているかのように煌めき、Strayを彷彿とさせる容赦のないドラム・プログラミングは凡百のミニマルなドラムンベースとは一線を画している。BサイドはBlocks & Escherによるもので、ダイヤモンドの原石のようなこのレーベルの存在感を如実に表している。Autonomic的なサウンドを深い谷のようなリヴァーブに浸した"Embers"では、強烈なハーフタイム・ビーツと熱っぽいコード、せり上がるようなベースラインが組み合わされている。まるで軍隊の招集のような威圧感があるし、決別の時を思わせる痛切さもある。どちらにせよ、強烈な作品だ。
Tracklist A Overlook - Three Shards
B Blocks and Escher - Embers