Melchior Communications Ltd Pres. Family Of Love - Dysfunctional EP

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  • Thomas Melchiorによるこの「Dysfunctional EP」はどこかミステリアスな雰囲気を纏っている。このEPは2001年のSoul Capsuleによるクラシック「Law Of Grace」以来、10年以上も沈黙し続けていたMelchiorのプライヴェート・レーベルAspect Musicから届けられた1枚だ。そして、Melchior Communications Ltd Pres. Family Of Loveという新たな名義を与えられている。Family of Loveがいったい何者なのかは明かされていないが、それはこのレコードを聴いてもまったくわからない。Melchiorにしてはかなりヴォーカルを偏重した作品で、彼のアンビエント的な側面がより如実に表れているのだが、誰か他に彼以外のアーティストが参加しているのかどうかはまったく窺い知る事は出来ない。 重要なのは、昨年夏に彼が[a:rpia:r]からリリースしたEP同様、この「Dysfunctional」にもまたMelchiorの類稀な才能がしっかりと息づいている。"The Call"には彼らしい多幸感に満ちた、天使のようなヴォーカルを纏ったデリケートなハウスだが、その仕上がりはこれまでになかったものだ。アフターアワーズ的というよりはシューゲイズ的といったほうがより正確で、まるでSlowdiveやCocteau Twinsをリミックスしたかのようである。それはB2の"Soon"にも同様の事が言え、その芒洋としたアンビエンスはそのタイトルと同じく『Loveless』を連想させる。"Everything OK"でも同様にドリーミーな要素が盛り込まれているが、その効果はより分かりやすく、良い意味で混乱したPerlonスタイルのトラックだ。"The Bow"はこのEP中でもベストのトラックで、メロディを排した造りとMelchiorらしいさざめくようなビーツが一体となっている。
  • Tracklist
      A1 The Call A2 Everything Ok B1 The Bow B2 Soon
RA