Soul Capsule - Overcome / Lady Science (NYC Sunrise)

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  • 「この作品はこれからの残りの人生でずっと僕のハートの近くに居続けるだろう・・・そして、僕の子供たちが音楽というものの本質を理解したとき、またこの作品は彼らに引き継がれていく。」いささか熱狂的すぎるDiscogsコミュニティのメンバーにあっても、1枚のクラブ・レコードがこれほどの尊敬を集める事は稀だと言っていい。そのレコードこそ、Soul Capsuleの「Overcome」であり、先頃行われたリイシューにおいて、そのクラシックとしてのステイタスに一切の疑いの余地もないことをあらためて証明してみせた。実際にはデジタル・ヴァージョンでの入手が可能になって久しいのだが、それでも多くのヴァイナル・マニアたちが数少ない(状態の良い)オリジナル・ヴァイナルを争うようにしていたのもとくに驚きには値しない。リリースから13年経った今も、このレコードが持つ魅力は寸分も色褪せていない、ということだ。まさしく、待望のリプレスと言うに相応しい。 「Overcome」はミニマルハウス界最高の作り手である2人、Baby FordとThomas Melchiorによって世に出された、まさしく最良のなかの最良といえるミニマルハウスだ。このレコードがFordのレーベルTrelikから1999年にリリースされた当時はまさに時代の先を行くもので、この頃にはミニマルハウスという名前すらまだなかった。今あらためてこのレコードに耳を通して見ると、各トラックがそれぞれ違う年の取り方をしているのがわかる。"Overcome"はこのEPのなかで最もダンスフロアー・ボムと呼ぶに相応しいトラックで、よどみないプロダクション・スタイルと後のベルリン産ミニマルに引き継がれるアブストラクトなヴォーカル・フックが息づいている。"Lady Science (NYC Sunrise)"はよりタイムレスな存在感を持っており、究極的には単なるマスターピース以上のものだと言える。そのほろ苦い甘さをたたえたオルガンのメロディー、ドラマティックなイントロはぜひフルで通して聴いてほしい。 これら2つのトラックはオリジナルEPからの抜粋であり、オリジナルに収録されていた1曲が今回のリプレスからは漏れている。"Lady Science (Tek Mix)"が収録されていないことを嘆くファンもいるとは思うが、このトラックは他の2曲に比べるとやや古さは否めない部分もある。ともあれ、"Overcome"と"Lady Science (NYC Sunrise)"の2曲はとりわけスペシャルだ。たとえクラブミュージックという枠から離れたとしても、この2曲はこれからゆうに10年以上は僕らの心を捉えて離さないだろう。
  • Tracklist
      A Overcome B Lady Science (NYC Sunrise)
RA