Policy - Hit Gone Bad

  • Share
  • 最初に私がNYのプロデューサー、Policyの名を知ったのはRush Hourからの彼の初期作品群であったが、当時はFaltyDLに近いフィジェット調の2ステップ的なカテゴリーの音だなと感じたのを記憶している。シカゴのArgotからは初となるこのシングルではしかし、彼はそうした以前の印象を塗り替えようとしている。"Hit Gone Bad"はすべての要素がせわしないが、そのやり方は以前とは違う。ディスコにおける異なる3つの時代をひとつにまとめてしまったような印象があり、ステディなグルーヴの背後に張り付けられている。鋭いホーンのスタブや派手なイタロ・ストリングス、NUディスコ調のシンセは渾然一体となっており、問答無用にパンチの効いた豪奢なトラックに仕上がっている。 こうしたレトロなアプローチは"Walk Up"でも続き、このトラックはヴィンテージ・シンセにまみれた大胆不敵なグルーヴに仕上がっている。トラックの基盤こそシンプルそのものだが、各小節の終わりごとにすり潰されたかのようなオフビートのハイハットがつんのめるように配置されている。注意深く聴き込んだ場合、トラックのさらなる跳ね感はさらに満足のいくものになるだろう。このEPの最後にはゆるいダウンビートの"Thick Nostalgia"が収められていて、他の作品から迷い込んでしまったかのようなベースラインが湿り気を帯びたシンセ・ワークに揉まれている。すべてのサウンドが微妙に時代遅れな雰囲気なのだが、あくまでそのタッチは人懐っこく、Policyの音楽性が少しだけ前に進んでいる事を窺わせている。
  • Tracklist
      A Hit Gone Bad B1 Walk Up B2 Thick Nostalgia
RA