Various - Stellate 4

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  • 2009年に立ち上げられて以来、Stroboscopic Artefactsはテクノに対し独自のアプローチを取り続けている。XhinやDadubといった看板プロデューサー、そしてレーベル設立者であるLucyらによるアトモスフェリックなタッチを存分に含んだプロダクションは、保守的なダンスフロアー志向のA&Rならばナーヴァスにさせてしまうだろう。そのサイファイ的でありホラー的でもあるアトモスフィアは今年始めにStroboscopic Artefactsが開始した豪華なコンピレーション・シリーズでもまずフォーカスされている点だ。それぞれ2曲づつを提供しているPerc、Silent Servant、nsi.をはじめ収録されているアーティストのほとんどは普段テクノ的なプロダクションで知られている者が中心となっているが、ここにはビートらしきものはほとんど見当たらない。逆に、このStellateシリーズはこの年の実験的なエレクトロニック・ミュージックにおける格好のプラットフォームとなっており、同時に普段のStroboscopic Artefactsにおけるよりストレートなテクノ・トラックの価値をも高めている。 Stellateシリーズの4作目にあたる本作はシリーズ中でも屈指の内容で、サウンドそのものはもちろん、個々のトラックを誰が手掛けているかクレジットを見れば再度驚かされるだろう。BlueprintのJames Ruskinが提供したトラックは本作中でも最大のサプライズと言え、"Cast Down"は普段の彼のテクノからは想像できないTangerine Dream調のエチュードを披露している(もうひとつRuskinが提供したトラック"Cabin Fever"も想像を大きく上回るトラックで、ガイドとなるビートが不在のなかノイズやクリック音が漂い続ける)。このほかにも聞き逃せないトラックが続く。L.B. Dub Corp名義で2曲を提供したLuke Slaterのトラックは、まるで彼のBerghainでのセットのアフターイメージ的でもある。2パートに分けられたSendaiの"Without the Written Word"ではサブ・ベースにフォーカスし高域を埋めるメロディは耳鳴りかと勘違いしてしまうリスナーもいるだろう。パリのDSCRDはSAのMonadシリーズ同様のエクスペリメンタルな作品を提供しているが、そのゆったりとしたテンポに彩られた音楽は極上の不穏さを醸し出している。
RA