Various Artists - Electronic Explorations 001

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  • Malaは数年前のLittle White Earbudsでのインタビューにおいて、「140BPMでの実験をしている連中はまだまだたくさんいると思うよ」と語っていた。このコメントに感傷的なものを感じられるとしたら、この「Electronic Explorations 001」を聴く価値はある。このレコードは、シーンに絶大な影響力を誇るRob Boothのポッドキャストから生まれたレーベルの第1弾リリースだ。先だってこの夏にリリースされたElectronic Explorationsのデジタル・コンピレーションから選りすぐりの4トラックを収録したこの重厚なEPは、ダブステップの純粋主義を追求したものでもなければ、単純にエクスペリメンタルと呼べるようなものでもない。確かなのは、ここに収録されたトラックはすべてダブステップにおけるあらゆる手法をリファインしたものである、ということだ。 無名のビート職人Akkord(彼がElectronic Explorationsのポッドキャストに提供したミックスはある種のセンセーションだった)は本EP中でもっともテクノ色が強いトラックを披露している。だが、彼のトラック"Surge"がクラシックなダブステップのBPMから10ほど遅いとしても、そのシンコペートしたリズムやデジタルなサウンド・デザイン、濃密なローエンドはまさしくダブステップ固有のそれだ。元Various ProductionsのMilaneseは"Hershey's Back"で絶妙な音色使いを見せ、オーヴァードライブ気味のグライム・ヴォーカルでテンポを上げて個性を放っている。Kahnはここ最近の彼のPunch Drunkからのリリース群にも増してムーディなリヴァーブに満ちた(そしてじれったいほどに短い)"Polar"においてPunch Drunk初期作を思い起こさせてくれる。Ruckspinの壮大なトラック"Belong"もまた、Martyn以上にMartynらしいトラックと言っても良いだろう。コンサバティブなスタイルながらけっして保守的ではなく、このEPはダブステップにあるべきはずだった進歩の形を提示してみせている。
RA