Outlook Festival 2012 Japan Launch Party

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  • 国内のベースミュージック・シーンが地殻変動を始めている。サウンドシステムで鳴らすことによって「低音」の魅力が倍増するジャンルである、レゲエ、ダブ、ジャングル、ドラム&ベース、ダブステップなどのアーティストが一同に集結する機会が増え、シーンの地図が塗り替えられ始めた。音楽の括り方の再編成、そしてコミュニティのリユニオンが起きているのかもしれない。今年の4月末にクラブを2件借りて行なわれたパーティ"BASS ADDICT"では、各店舗にサウンドシステムが持ち込まれ、北は函館から南は宮崎の国内のベース系アーティストが集結。その翌週には、サウンドシステムを船上に乗せて横浜の埠頭から周遊するクルージング・パーティ"BASS BOAT"が行なわれた。昨年末に行なわれRAでも紹介した"Sound Slugger"を皮切りに、行く前から圧倒される企画によってパーティ感が高められ、現場は強烈な祝祭感を創造している。 そして、今回満を持して行なわれたのが、クロアチア発祥のベースミュージックのフェスティバル"Outlook Festitival"の日本ローンチ・パーティだ。汐留のギャラリーTABLOIDにて2日間行なわれ、城のように積み上げられた巨大なサウンドシステムによる低音の鳴りは、テーブルの上に置いたグラスを揺らすほど。音波の振動で銀歯が抜けた噂も耳にする、体感芸術空間を作り上げた。UKのニュールーツ・レゲエのアーティストDaddy Freddy、Solo Bantonも招聘し、総勢50組以上のアーティストが集い、岸に面した会場の地の利も幸して、サウンドシステムを持ち込んだ船上パーティーも行われるなど、書ききれないほど企画は盛りだくさん。なかでも興味深かったのが、サウンドクラッシュも盛り込まれたこと。この日のために作成したオリジナルトラックをアーティストが流して、客の反響を基準にバトルをするレゲエ発祥のショーである。DEXPISTOLS、HABANERO POSSE、JUNGLE ROCKが出場し、サブローのスピーカーが激震することを意識した自作曲を掛けあい、雌雄を決した。トラックメイカーを奨励することが、国内のベースミュージックシーンの発展に伴うと考えた意義ある企画だ。とにかく、自宅でベースミュージックを聴くことは、Youtubeで遊園地の動画を観ているのと同等といえるだろう。まずは実際に現場に足を運び、低音で血肉を揺らす音響体験をして、身体の芯まで低音浴をして欲しいと言いたくなるパーティだった。 Photo credit: Masanori Naruse
RA