- "Is Your Mother Home"はまるで固有のムードと不吉さを強調したコンセプチュアルで退廃的なシンフォニーといった趣だ。そうとは言ったものの、同時に私はこのトラックを聴いていると思わずニヤリとしてしまう。タイトルトラックでは増長するシンセ・ラインと妖しげなアンビエンスが際立っているが、そのナンセンスさと買い物リストを延々と読み上げるようなリリックはそのトラックのテンションと奇妙でコミカルな対比を見せている。そのリリックの中にはなかなか有効そうな口説き文句があるので、その気があれば自己責任で真似してみてはどうだろう。
BMGとDerek Plaslaikoがそれぞれ手掛けたヴォイス抜きのダブ・ヴァージョンは共にある種トロピカルなムードと言う点では共通しているが、Plaslaikoによるリミックスは空間性を活かして孤独感を強調したBMGのそれよりもさらにグルーヴの密度が高まっている。"Daydreaming About Your Mom"や"Is Your Mother Done"といったトラックもまたサウンドの面では同様のアプローチで作られており、こちらはどこかもの悲しさを含んだシンセの音色が印象的だ。