Gene Hunt - May the Funk Be With You

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  • Gene HuntがRush Hourからリリースする最新作のリミキサーにTheo Parrishが選ばれるという組み合わせは、ごく自然な組み合わせだろう。そのオリジナル・ヴァージョンのサウンドはスタジオでかなり作り込まれたもののように聴こえる。Hunt自身によるオリジナル"Mat the Funk Be with You"の冒頭におけるシンセはまるで80年代のコマーシャル・フィルムからそのまま飛び出してきたかのようなサウンドで、スクリーンにトラックタイトルが派手に映し出されるような感覚だ。強固でずっしりとしたキックドラムはファンキーに蠢きながら、やがて太いベースやクラシックなパーカッション、オルガン・サンプルと出会う。それらがすべて出揃う終盤部ではsci-fi的なフェイザーが登場し、ストリングスはほろ苦いメロディを奏でる。 Theo Parrishによるリミックスではオリジナルのゴスペル的なルーツがより強調されている。ファットで即興性の強いベースラインがライドシンバルの下で徐々に姿を現す。そして、パーカッションとキーボードは有機的なジャムを展開しはじめるのだが、このリミックスにおいて個々のサウンドの要素を説明することはあまり意味が無い。というのも、それら全体がひとつとなって醸し出すジャジーで暖かなムードこそが重要だからだ。このリミックスには、Parrishのもっとも豊かで享楽的な音楽性がよく表れている。シカゴのハウス・パーティが日曜の朝8時か9時ごろまで続けられていたころ、DJたちはダンスフロアー内に教会さながらの神聖さを演出する際にこうしたトラックをかけていたに違いない。アーメン。
RA