Allen & Heath - Xone:DB2 and Xone:K2

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  • 昨年10月に Allen & Heathは高い評価を得ているDJ用機器、Xoneのラインアップに新たに2機種を追加することを発表した。その2機種とはDB4の廉価版のXone:DB2、そしてTraktor X1スタイルを受け継いだMIDIコントローラー/オーディオインターフェイスのXone:K2である。Allen & Heathは当初2011年末に発売を予定していたが、明らかにされていない遅延により、その予定が数カ月遅れることになった。我々は1月にアナハイムで行われたNAMMショーで初めて実機に直接触れる機会に恵まれ、非常に好印象を持ったが、もっと長く触れていたかったというのが正直なところだった(DB2とK2はこの記事が掲載される頃には発売になっているはずだ)。 まずDB2だが、軽く見比べただけではDB4との明確な差の殆どはすぐには見つけることができないだろう。ジグザグに配置されたEQと、有機LEDのディスプレイ、そして筐体デザインも全て共通している。しかし、そこから細かく見て行くと、この2つがいかに違うかが明確に理解できるようになる。まずDB2のコントロールは「余裕」がある。エフェクトユニットの数が2つに減っており、DB4では大きなディスプレイが配置されているパネル右側に移動されている。また、各チャンネルのループ機能も無くなっており、ディレイの1種類としてエフェクトに統合されている。この変更は、フラッグシップモデルの廉価版というAllen & Heathの考えていた目標を考えると納得がいくものであり、DB2にしっかりとした価値を与えている。 またループ機能とエフェクトの変更の他にもコスト削減が行われており、チャンネルのレベルメーターとフィルターでも簡素化が行われている。各チャンネルのレベルメーターはマスターチャンネルのレベルメーターと同様のLED13個から、平均的な6個に減っており、表示レンジは、-15dBから「いいから下げろ」という一般的なオーバーロードLEDまでとなっている。 フィルター部分はより劇的な変化を遂げている。コントロールは6つから1つに削減されており、フィルターのノブもエフェクトユニットに統合されている。EQはDB4と同様、フィルターモードに切り替えることが可能だが、この切り替えはグローバルメニュー内で行うようになっていることから、全てのチャンネルに適用される。これは各チャンネルでEQモードとフィルターモードの切り替えが可能なDB4のスイッチに比べると劣っている部分と言えよう。このように柔軟性の低下が見受けられるDB2だが、エフェクトユニットのフィルターノブは、Traktorのフィルターと同様の動きでローパスからハイパスモードになるため、多くのユーザーにとっては馴染みのある、使いやすい機能のはずだ。 DB2ではエフェクトユニットの数が半分に減っているものの、エフェクトエンジンはDB4と同様のものが搭載されている。これはAllen & Heathの強力なiLiveシステムから流用されたものだ。DB2では、どのエフェクトをどのチャンネルにルーティングするかは、各チャンネルに付属している小さなロッカースイッチを変更することで行うが、この点を補うために、Ecoと呼ばれる新しいディレイエフェクトが搭載されており、基本的にエフェクトをセンドモードにすることが可能だ。これは優れた機能と言えよう。しかし、ループ機能がエフェクトユニットの1つを使ってしまうのはやや不愉快だ。エフェクトをチェーンさせることが不可能なため(Traktorでは可能)、ループさせているオーディオにエフェクトをかけることが不可能になっている。 もしDB4の存在を知らなかったら、間違いなくDB2の機能は手放しで賞賛できただろう。しかし、既にDB4が市場に出ていることと、DB2が比較的高価であるという点を踏まえると、購入予定者は躊躇してしまうはずだ。Allen & Heathのサウンドクオリティとデジタルオプションを持ったプロ仕様のDJミキサーが欲しいが、DB4は高価で複雑だと思っている人ならば、DB2は最良の選択になるだろう。しかし、もう少し資金を貯めて、あくまでDB4をと思っている人は、間違いなくそうするべきだ。 もう1つの機材はXone:K2だ。K2はTraktor Kontrol X1と、Novation Launchpad、そして4チャンネルのオーディオインターフェイスを組み合わせたような機材である。DJの使用を第一に考えた一般的なコントロールレイアウトであり、4つのLEDエンコーダー、一般的な3バンドEQとしての使用に適したノブとボタン(キルボタンも搭載)、4本のフェーダー、4x4のLEDグリッド、そして最下部には2つのエンコーダーを囲む形で大きなボタンが2つ配置されている。全てのLEDは3色(赤、緑、黄色)で表示することが可能になっているが、Allen & Heathは各色に対応した3つのコントロールレイヤーを組み込むことでこの機能を最大限に有効活用している。これによって、1つのレイヤーに4台のTraktorのデッキのコントロールを割り当てておき、ボタンを押すことで、エフェクトユニットのコントロール用の残りのレイヤーに切り替えることが可能だ。また「ソフトテイクオーバー」機能によって、レイヤーの切り替え時にパラメーターが大幅に変更することを防いでいる。 更に興味深いのは、レイヤーの設定をK2のコントロールの特定のエリアだけに適用することができるという点だ。例えば、4x4のグリッドに3つのレイヤーを適用し、残りのコントロールはレイヤーを1つだけ適用するということが可能になっている。これはセットアップモードで設定するが、セットアップモードにはパネル最下部のエンコーダーの1つを押しながら電源を入れることで入る。この記事の執筆時点では、セットアップモードではこのレイヤー設定と、MIDIチャンネルの設定のみが行えるようになっている。最初はこの設定方法が嫌だったが(MIDIチャンネルが点灯しているボタンの数で表示されるのは時代遅れに思えた)、数回行えば自然に感じられ、またコンピューターが不要だという点とK2本体にLCDディスプレイを必要としない点は評価が高かった。 K2にはステレオアウトプットが2系統付属しており、1つは背面のRCA、そしてもう1つは前面の1/8”のヘッドフォン端子となっている。このマスターアウトとヘッドフォンというアウトプットの配置は、K2単体で使用する時には非常に便利だ。アウトプットのボリュームを調整できるノブがついていれば尚良かったが、低価格を考えたデザインを考えると文句は言えない。またUSBオーディオインターフェイスとしてのK2は、Windowsではドライバのインストールが必要だがMacでは不要となっており、クラス準拠のオーディオデバイスとして使用することが可能だ。 K2はUSBバスパワーだが、X:LINKに対応しているAllen & Heathのミキサーと接続することでも動作が可能で、ミキサーを通じてMIDI信号の送受信も可能になっている。X:LINKを使えば、2台のK2をチェーン接続することも可能だが、チェーン接続された側のK2からはMIDI信号だけが送信されるため、もし2台共にオーディオ出力が欲しいという場合は、それぞれをUSBで接続し、出力をOS上のオーディオデバイスでまとめる必要がある。これはやや面倒で、K2のマニュアルによると、Windowsではサードパーティーのアプリケーションを使用が推奨されている。これはステージ上では行いたくない操作だろう。 K2は興味をそそられるデバイスであり、その携行性の高さと機能から、非常に複雑なDJのセットアップを簡潔にしてくれるだろう。MIDI面では高バランスの簡便性と柔軟性を、そして品質とオーディオ面では実績あるAllen & Heathの性能を持っている製品だ。 Ratings: DB2 Cost: 3.5/5 Ease of use: 4/5 Versatility: 4/5 Ratings: K2 Cost: 5/5 Ease of use: 3.5/5 Versatility: 4.5/5
RA