BNJMN - Unknown 2

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  • これまでBNJMNが手掛けてきた作品群はそのテンポや構造、リズム的な特徴といった点でまさにオールラウンドな性質を有しているが、それを踏まえると今回Rush Hourから届けられたこのホワイト・レーベル作品は特別な異質さを放っている。ここに収められた3トラックはすべて130BPMかそれ以上で統一されていて、このイギリス人プロデューサーにしては異例とも言えるほど飾り気のないロウな趣で抑制されたムードを醸し出している。ここにはYouTubeで話題になるようなキャッチーさも、ダーティなコンプレッションも一切なく、すべてがクリーンなフレーズと素朴なマシーン・グルーヴで満たされている。"Minus One"はまさにそうした印象で、生々しく軋みをたてるようなドラムマシーンが140BPMで弾き出され、若干神経質なシンセ・フレーズがそこに重ねられていく。そのぎこちなさや少し未成熟な感じは初期のAutechreに粗いフィルターをかけたような印象を受けるが、その意図は充分に機能していると言えよう。 "Shadow"ではタフで乾いたドラムグルーヴと悲しげで沈鬱なメロディが組み合わされているが、ディープさはさらに深みを増している。"Minus One"での不安定な冷淡さにくらべると、和らいだ印象だ。本EP中で最も強力な"Unrest"ではきらびやかなパッドが乾いたドラムグルーヴの上でループしている。このトラックはEP中最もスローなトラックであり、最も中毒性の高いトラックだ。Aphex Twinの「Gak EP」からレイジーなテクノっぽさを抽出したうえで、LegoweltやMove Dのメランコリーさと組み合わせたかのような趣もあり、性急なリズムでありながらもグルーヴが平凡にならないよう巧妙にキープしている。EPの最後を締めくくるには実に印象的なトラックであり、スタジオでのある濃密な週末を切り取ったかのような生々しさがある。
RA