RA.472 Lakker

  • Published
    Jun 15, 2015
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    144 MB
  • Length
    01:02:45
  • テクノ・ノット・テクノ
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  • 今週のRAポッドキャストのトラックリストを見ると、Lakkerのサウンドを構成する要素が見えてくる。LakkerことDara SmithとIan McDonnellは、いわゆるテクノとは呼びにくいテクノを作ることで知られている、アイルランド人デュオ。ミックスにAphex Twin、SquarepusherとAutechreといった名前があることでIDMに影響を受けていることがわかるが、彼らが最近リリースした素晴らしいアルバム『Tundra』では、そういったアーティストに近い精巧さや美への執着が見受けられた。A Made Up Sound、Joe、Damuといったアーティストがいることで、SmithとMcDonnellはポスト・ダブステップとUKベースとも調和していることが解る。Blueprintから出した"ED"や、Stroboscopic Artefactsからの"Valentina Lane"などは特にそういったバウンスのあるトラックであったが、でなくとも、このサウンドの影響は彼らの音楽のいたるところで聞くことができる。それに加えてAfrikan Sciences、Gesloten Cirkel、Heatsickといったレフトフィールドなハウス・アクトのトラックも入っているが、Lakkerの自由奔放な作曲アプローチは彼らと近いものがある。かと思えば、J DillaとStones Throw Recordsも織り込まれていることから、ヒップホップにも影響を受けていることが明らかになる。むしろ、ミックスに入っていない唯一のサウンドは直球なテクノだとすら言える。SmithとMcDonnellは今ではテクノ・シーンでリスペクトを集める存在となったが、このミックスは、テクノに対する彼らの複雑で独特な向き合い方を示している。 RA.472 Lakkerでは、彼らはこういった様々なスタイルを面白い技で繋げている。収録曲は全て短いループであり、そのループを組み合わせて1時間の長い曲にしているのだ。息苦しいものになりそうだな、と感じてしまった人は、聞いてみれば全くそうでないことが解るだろう。 近況報告をお願いします Dara:今は『Tundra』のAV(オーディオ・ビジュアル)ライブを作り込んでいるんだ。ライブ環境でアルバムを上手く表現することができるスペシャルなショウにしたいと思っているんだ。 Ian:お互いが満足しているアルバムを出せた達成感に浸っているところだよ!出来上がった作品を世に出すことができて、やり遂げた感があるね。 ミックスの制作環境を教えてください Dara: ベルリンで、デジタルで制作した。 Ian: ああ、うちのホームスタジオで。入念に練って、使いたいループを沢山用意して、ミックスのラフをまず作ったんだ。そして本番はMIDIコントローラーとAbletonを使って録音した。 ミックスのコンセプトを教えてください Ian:好きなビートのループだけでミックスを作ろうというアイディアがあったんだ。従来のDJミックスというよりは、ライブ・セットに近いものだ。1曲をフルでかけるんじゃなくて、ループを音素材として活用して、長い曲を作るイメージさ。たいていのDJセットやミックスは実はこれに近いことをしているんだが、今回はさらに自分を制限した。 ミックスを組み立ててみると、ビートだけだとちょっと味気ないと気づいたから、メロディーやテクスチャーのループも加えた。曲を1曲かけるんじゃなくて、あくまでも素材として使ってね。最後のほうに何曲かフルでかけているものもあるんだ。Squarepusherが言う「I Love You」の言葉ほど、ミックスの締めくくりに相応しいものはないだろう! 『Tundra』の制作について教えてください Ian:どういった音楽を俺たちは出したいのか、ということをじっくり考えることから始めたんだ。2011年にKillekillから「Spider Silk」を出して以来、いくつかのレーベルからいくつか12インチを出してきた。そのままそれを続けても良かったんだけど、アルバムのほうが、俺たちがミュージシャンとして何を伝えたいのかが表現出来ると思ったんだ。EPよりもアルバム形式のほうが、俺たちが本当にやりたいと思っているサウンドの幅を表すことが出来る。 去年、夏が終わってから、俺たちはどういうアルバムにしようかと話合って、一貫性があって、リスナーを旅に連れて行くような、通して聴くことに意味のあるアルバムにしよう、と決めた。それから、それに合う楽曲を作って行った。20曲ほど新曲を作り、それと以前作った曲でコンセプトが合うものを少し加えて、『Tundra』を完成させたんだ。 フィールド・レコーディングをするとき、何か具体的なものを求めているのですか? Dara:面白いと思ったものを何でもレコーディングしておいて、じっくり聴いて、それを集めてデータベースにしているんだ。曲を作っているときに、何かひらめいたらすぐに追加できるようにしてある。自分たちで生成するサウンドと、録音音源の音色や空気感をマッチすることを意識しているんだ。 Ian:フィールド・レコーディングにおいて、具体的にこれ、って言えるような求めている特徴は挙げられないね。強いていうなら、空間が感じられる音かな?しかし聴けば、ポテンシャルのある音かどうか解るんだ。 今後の予定は? Dara:まずはAVショウを良いものにすることが短期的なゴールだね。あとはもう1枚出したい。 Ian:ああ、実は次の作品にもうとりかかっているんだ。アルバムのコンセプトの延長線上にあるけど、ちょっと違っていて、今までやったことのないものをやっているんだ。『Tundra』を作ったことで、どんどん創作意欲が沸いて、俺たちのサウンドが今後どういう方向に進むのか楽しみになった。今後も探求と成長を繰り返していきたいと思っているよ。
  • Tracklist
      Lakker - Oktavist K-O.I~3.2^6 - Good Day Emptyset - Tangent J Dilla - Jungle Love (inst.) Paul B. Davis - Pretty Afrikan Sciences - Transient Authority A Made Up Sound - Take The Plunge Damon Vallero - Foundation L/F/D/M - Tape tension Pt.1 Aardvarck - Beukeboom Unknown Artist - Untitled (Dance Music) Aphex Twin - diskhat1 Aphex Twin - diskhat ALL prepared1mixed 13 Heatsick - Dviation Gesloten Cirkel - Twisted Balloon 6K - Tighten Autechre - pce freeze 21i Bandshell - Midas Damu - No Pain No Gain Skee Mask - Cylo T++ - Dig Aoki Takamasa - RN2 09 PT1 PT2 M.E.S.H. - Infra Dusk Autechre - spl9 Ardisson - Can You Keep Up Boards O f Canada - Basefree Joe - Claptrap Clemens Neufeld - Klangstrahler Panda Bear - Boys Latin (Andy Stott Remix) SPACES - Potential Lawrence English - Organs Lost At Sea Drummers of the Societe Absolument Guinin - Yanvalou Listen The Birds - Hedge Sparrow (Dunnock) / Heggemus (Prunella Modularis) Mira Calix - Umchunga Locks Red - I Should Tell Ya Mama On Yo Squarepusher - Square Window
RA