RA.414 ItaloJohnson

  • Published
    May 5, 2014
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    201 MB
  • Length
    01:27:48
  • 正体不明の3人が送る、シリアスなクラブ・サウンド
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  • 2012年にベルリン拠点のプロデュース・ユニット、ItaloJohnsonの特集を組んだ際、Kristan Carylは彼らに関する情報をなかなか引き出せず、手こずった。それから18ヶ月たったが、未だに彼らは謎に包まれたままだ。「スポークスマン」と名乗る人物からのメールには、彼らは音楽にのみフォーカスして欲しいと考えている、という旨が綴られていた。だから、彼らの音楽にフォーカスしよう。ItaloJohnsonは、最近セルフ・タイトルのヴァイナル・シリーズの8作目をリリースした。収録されている3曲は、今までの作品と同様な、ハード機材を用いて制作したシンプルな楽曲であった。「俺たちは何か企んでいるわけでも、時代錯誤なイデオロギーを掲げているわけでもない」と、彼らはCarylに語っている。「ただ流れに任せて、好きな音を追求しているだけさ」。ItaloJohnsonの音楽は機能的だと言えるが、シリーズ3作目のA面の曲のヴォーカルや、5作目のB面のシンセ・ストリングスなど、ただのDJツールとは言いきれない工夫が施されている。これまで彼らは自分たちの楽曲の制作しか行ってこなかったが、最近活動範囲を広げており、Hotflush (The White Lamp) やTsuba (Spencer Parker )といったレーベルへリミックスを提供した。 スポットライトを避けたがるItaloJohnsonのスタンスは、メディアには悩ましいが、そのアプローチが彼らのDJキャリアに悪影響を及ぼす事はなさそうだ。今年に入ってから彼らはすでにBerghain、Trouw、Concrete、Corsica Studiosでプレイしており、クロアチアのDimensions festivalのギグも控えている。彼らのスタイルは、ストレートだが魅惑的なテクノとハウスの融合であり、今週のRAポッドキャストでもその特色が輝いている。 まずは近況報告をお願いします。 最近はあちこちでプレイしたり、面白い人と知り合ったり、色々な刺激的な場所で二日酔いになっていた。あと、Hotflushのためにリミックスを制作したのと、リリース8作目を仕上げたばかりだ。出来にはとても満足している。7作目を出してから久々のリリースだ。 ミックスの制作環境を教えてください。 4月のとある日曜日に、レコードでいっぱいのレコードバッグを持った俺たち3人が集まって、制作した。2台のTechnics 1210とAllen & Heathのミキサーで、1発録りだ。あと、リビングルームに可能な限り大きいスピーカーを設置してクラブのフィーリングを再現したんだ。隣人は嫌がっていたけど。だが客をいれることを完全に忘れていたよ。次回は観衆を雇わないと。 ミックスのコンセプトについて教えてください。 今回このミックスを作る上で重要な要素が2つあって、1つは選曲、曲順だ。もう1つは、ミックスの仕方、レコーディングの仕方だった。 選曲に関しては、自分たちの様々なスタイルが聞けるものにしたかった。ずっと前からpodcastに入れたいと思ってた名曲もあれば、俺たちのエモーショナルな一面を表した曲もあり、ドライで反復的な傾向を示しているものも入っている。そして今回拘ったのは、何年か前、あるいは何年後かに制作されてもおかしくないようなものにすることだった。俺たちにとって時代性の無い、タイムレスなものを目指したんだ。ミックスの仕方、レコーディングの仕方なんかを聞いてもらえれば、俺たちのDJスタイルの美学を解ってもらえると思う。間違いなくクラブ直系のミックスだね。 3人でのDJプレイはどのようなアプローチで行っていますか? 事前に電話で打ち合わせして、レコードが被らないようにするんだ。あと、クラブ側に酒のボトルを最低2本は用意してもらうようにしているね。1人ミックスをしている間、残りの2人はパーティーしてる訳だから。それ以外にどんなやり方があるだろうか?バック・トゥー・バックという点以外では、全てはその時の流れに任せているんだ。 セットを通して、何か特定のムードやフィーリングを喚起させようとしますか? 俺たちのセットは長くて、即興性が高い。始めから、オーディエンスを手に取って俺たちの世界に引き込むんだ。何が起こるか解らない世界に。これは拳を挙げ、恍惚状態になるハウスな瞬間かもしれない。頻繁にそうなる。だが、反復する無限ループが踊ってる人を瞑想の世界へと誘うようなハードなテクノの瞬間もある。最終的な目標は、パーティーの核になること、そして観客と一体になる事さ。 今後の予定は? 次は、ItaloJohnson #08のリリースが控えてる。5月5日の発売だ。去年はSpencer Parkerのリミックス以外では1作しかリリースできなかったから、今年はもっとリリースできるようにするつもりだ。fabric、Space、Dimensions Festivalなどが決まっているから、今年の春/夏シーズンがとても楽しみなんだ。あと閉店する前にもう一度だけTrouwでプレイできるのは光栄だ。とても残念なことだが。とにかくもっとスタジオで制作する時間を増やすつもりだ。他人の後を追うようなことはしないよ。
RA