- 即興の美学
- Juju & Jordashの音楽は、“直感”と“即興”がキーワードだ。イスラエルのハイファで出会ったGal AnerとJordan Czamanskiの2人は、もうかれこれ10年も共に制作をしている。その間、シンセやドラムマシンを用いたジャムセッションを通して、2人はジャズやポストロックといった影響を反映させた独自のサウンドを確立した。ハウスと言おうがテクノと言おうが、彼等のスタイルを表す上ではどちらも不十分だ。時に彼等の音楽は政治的なメッセージ性を強く押し出す。中でも顕著なのは、「シオニズム、犠牲、そして復讐との何年にも及ぶ格闘」が基になったという2部作の「Unleash The Golem」であった。
現在はアムステルダムを拠点に活動するAnerとCzamanskiは、同市のエレクトロニック・ミュージックシーンにおいて重要アーティストとして高く評価されている。人気レーベル/イベント・シリーズのDekmantelと深い繋がりを持っており、2009年のセルフタイトル・アルバムと、去年の『Techno Primitivism』もDekmantelから出した。ここ数年、Move Dとのコラボレーションも多く見るようになり、Magic Mountain High名義でWorkshopから12インチをいくつか出した。そのうちの最新作、「Live At Freerotation」は去年のウェールズのイベントでのライブ音源であった。
今回のRA.379は、今年のモントリオールのMutekでのJuju & Jordashのセットをレコーディングしたものであり、彼等の即興性高いパフォーマンスのエッセンスが捉えられている。
まずは近況報告をお願いします
Gal Aner:最近はヨーロッパ中のクラブやフェスでのギグで忙しかったよ。アムステルダムのDekmantelだとかBoiler Roomのライブをやったばかりだ。制作面ではDekmantelやGolf Channel用のEPの作業を進めていて、いくつかリミックスもやっている。あと、Magic Mountain High名義のリリースの準備も進めていて、これはJordanの新レーベル、Off Minor Recordingから出る予定だ。
Jordan Czamanski:そして忘れちゃいけないのがGazzaraだ!Max Dとの新しいバンドで、ミステリアスで変幻自在なCarl Cardiganをフィーチャーしている。最初の12インチはOff Minorから数ヶ月で出ると思う。
制作環境について教えてください
Gal Aner:これは数ヶ月前に行ったモントリオールのMutek festivalでのライブの模様なんだ。Borderlandのあとで、フェスの大トリを努めたんだ。
今回のコンセプトについて教えてください
Gal Aner:いつものライブと同じく、シンセ、ドラムマシン、エフェクターを繋げて、ただひたすらジャムしただけさ。100%インプロビゼーションだよ。
Jordan Czamanski:機材オタクのために言うと、俺たちが使っていたのはSH-101、Juno-60、Poly-800 II、DX11、TR-909、MFB、TR-707、Roland R8、Strat、そしてMelodicaだ。
最近FreerotationでのMagic Mountain Highのライブを音源化しましたが、どのようにしてこのフェスはあなたたちにとって重要なイベントになったのですか?
Jordan Czamanski: Freerotationはすごく親密なイベントなんだ。まるで500人の親友とハングアウトしてるみたいな気分になるから、ここでライブするのは最高なんだ。観客も俺たちもオープンになれる。それを形にして残したいという気になったんだ。
UnsoundではJonah Sharpと一緒に The Mulholland Free Clinic名義でライブをやりますね。どういったアプローチにするか、もう決めてありますか?
Jordan Czamanski:まだ細かいことは話し合ってないんだけど、すごく楽しみなんだ。このライブは“我慢”がテーマだ。自己主張の強い4人が集まって、交流を計って、何か意味のあるものを作り出す。この4人でプレイをしたことは一度もないし、GalとJonahはまだ会ったこともないから、面白いことになりそうなんだ。楽しみにしててくれ。
今後の予定は?
Jordan Czamanski:Galがさっき言ったこと以外では、Magic Mountain Highのギグ(ハイデルベルク、ケルン、パリ、Elevate) とJuju & JordashのライブやDJギグ (Dimensions、デン・ハーグ、ロンドン、Panorama Bar)が結構あるんだ。10月には、ベルギーでまた『Der Golem』のサントラをパフォーマンスするつもりだ。楽しいことばかりだよ。