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Breaking through: XOSAR
Breaking through: XOSAR

カリフォルニア出身で現在デン・ハーグに居を構えるXOSARは、超常的なムードを持つハウスグルーブが特徴的なアーティストだ。RAのAaron Coultateが迫る。

Xosar
「私はポジティブなエネルギーを与えてくれる物に囲まれて暮らすのが好きなの。虎の置物やクリスタル、それに本ね。本は沢山持っているの。オカルトやシャーマニズム、魔法なんかについての本ね」電話越しにスタジオについて説明する彼女は、その他にはJupiter 8とElectribe ESXが置かれていることを付け加えた。

カリフォルニア州サンノゼ郊外で生まれ育ったXOSARことSheela Rahmanは、現在オランダのデン・ハーグに住んでいる。超常現象研究会に所属するなど、長年異世界や超常現象に興味を持ち、実際にサイキックパワーも持っている母親と、そういうものを信じていない父親の間で育ったRahmanは、「私はいつも超常現象に魅了されてきたの。この部分は母親似なのよ」と自分を説明する。 

そんな彼女は実に短期間で今の地位を築き上げたアーティストであり、デビューから1年も経たないうちに無名のアーティストからL.I.E.SやRush Hourのレギュラーアーティストへと成長した。彼女のサウンドには、奇妙で物憂げなエクソシズムというプリズムを通過したマシンソウルというべき特徴が備わっている。

Rahmanの音楽への情熱は幼少時を過ごしたカリフォルニア州サンノゼで培われた。「90年代のサンノゼのラジオはオールミックスだったの。ラテンハウス、フリースタイル、トランス。何でも聴いたわ」彼女はそう振り返るが、彼女が一番大きな影響を与えたのはデトロイトテクノの未来感溢れるサウンドだったようだ。「私は11歳の頃にありとあらゆるハウスを聴くようになったけれど、一番のめり込んだのはデトロイトの音楽だったわ」

その後Rahmanは大学で神経心理学を学んだが、音楽への興味を断ちきれず、20代前半にサンフランシスコ付近のサウンドデザイン学科へ入学。そこで音楽制作において必要な知識を全て学んだ。またこの頃にグラフィックデザインを独学で学び、デザイナーとしてのキャリアも積み始めているが、当時について、「あの頃はグラフィックデザインと音楽の間を行ったり来たりしていたのよ。でも最終的に音楽をやるって決めたの」と振り返っている。

結局Rahmanは2011年にデン・ハーグに移住。そこで最初の2枚のEPに収録されるトラックの仕上げを行う。そして昨年1月、Ron Morelliの運営するL.I.E.Sから彼女のデビュー作“Tropical Cruize”EPがリリースされ、彼女にとっても、そしてL.I.E.Sにとっても怒涛の1年だった2012年がスタートすることになった。尚、RahmanはL.I.E.Sのアーティストたちには親近感を感じているようで、「L.I.E.Sのアーティストはみんな好きよ。特にTom HawkとTerekkeは大好きなの。彼らは今一番好きなアーティストで、しかも同じレーベルに所属しているわ。深い部分で自分との共通性を見いだせる音楽をリリースしているレーベルから自分の作品がリリースできるのは嬉しいわね」と説明する。





“Tropical Cruize”EPは、ザラついたドラム、シンプルだが魅力的なシンセワーク、そして自身のヴォーカルが特徴的なEPで、XOSARが優れたマシンミュージックを生み出せるアーティストだということを世に示す作品となったが、続く2枚目のリリース“Ghosthaus”EPは“Tropical Cruize”EPからわずか2週間後にRush Hourからリリースされた作品にも関わらず内容は前作を凌いでおり、哀愁を帯びた“Rainy Day Juno Jam”は、XOSARが他のプロデューサーならばキャリアを通じてようやく表現しきれるような感情の幅を4分足らずのトラックに盛り込めることを証明している。また、公私のパートナーであるDanny Wolfers(Legowelt)がオリジナル2曲のリミックスを担当。“Rainy Day Juno Jam”のリミックスがNorman NodgeのミックスCD『Berghain 06』の最後を飾るトラックとして収録されていることは知っている人も多いだろう。


Rahmanはこの2枚の後、Rush HourからソロEP“Nite Jam”、またLegoweltとの共作EPを3枚と計4枚をリリースしている。Rahmanは2人の共作について、「デン・ハーグへ移住したから、(Danny)とのコラボレーションを進めることができたのよ」と説明する。ちなみに2人の住む家にはアナログ機材で埋め尽くされた部屋が5部屋もあり、そのうち1つがRahmanの個人用スタジオとなっているが、そのスタジオに置いてある機材以外の物、つまり前述した虎の置物、クリスタル、本などにはそれなりに意味があるようで、Rahmanは、「虎には長年惹かれているのよ。恐怖心がないところが魅力的ね。私は恐怖心を持たないようにしたいと常々思っているから、虎を自分の近くに置くことでインスピレーションを得るようにしているのよ」と説明している。ちなみにクリスタルについては、「回復力に興味があるとだけ言っておくわ」と謎めいた発言に留まっている。



「いつもからかわれてきたし、私の物の捉え方を理解できないと言われてきたの。
でも気にしていないわ」



Rahmanの超常現象に対する興味は日々募るばかりのようで、空いている時間は貪欲に読書をし、独自の研究を重ねているようだ。「オカルトについて調べたり、シンボルや瞑想などを通じて他のエネルギーと触れ合う方法について調べたりしているのよ」と説明する彼女は、自分の音楽との関係性について質問されると、「私の音楽を聴いてくれる人たちに何かが起きればいいなという意図が自分の深いところにあるのは間違いないわね。でもサブリミナルメッセージを送ることはないわ。私は自分の音楽がみんなの人生を向上させるような存在であって欲しいだけなのよ」と答えている。

尚、このような考えを持つRahmanは、それ故に他人にからかわれたり、いじめられたりした経験があるとし、「いつもからかわれてきたし、私の物の捉え方を理解できないと言われてきたの。でも気にしていないわ。私は自分の考えを押し付けるような人物として見られたくなかったし、盲目的に目の前に置かれた何かを信じるような人も好きじゃないの。存在する全ての物に対して常に疑問に思うべきよ。そして自分なりの答えを導き出すべきだと思うの」と語っている。

その後我々の会話は彼女の言うところの「自信を与えてくれる」信念体系、「オカルト」へと移っていった。彼女は以下のように説明する。「オカルトは近代社会が向かっている方向とは対照的に、自由な思想を与えてくれるものなの。近代社会は毎日同じ時間に起きて、仕事へ行って眠るという人たちを生み出すだけで、人生に何の意味ももたらしてくれないわ。沢山の人たちはただ単純に言われたことを盲目的にやっているだけだと思うの。でもオカルトは自分の心のパワーを教えてくれるのよ。どうやって自分の現実をコントロールするか、そして誰のものでもない、自分だけの気持ちに従って生きることを教えてくれるの」



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上記のような独特の考えを持つRahmanは、Legoweltと共に様々な別名義を使いこなすことを楽しんでおり、自分たちを真面目に捉えすぎるような人たちに対して中指を立てるような、ふざけた作品を展開している。2012年、2人は2つのプロジェクトを始動しており、そのひとつTrackman Lafonte & BonquiquiはL.I.E.SとCrème Organizationからリリースされているが、彼らの言うところの「サーファーハウス」、つまりRahmanの生まれ育った太陽の降り注ぐアメリカ西海岸の雰囲気がCasioのキーボードのチャーミングでローファイなサウンドで彩られたトラック群となっている。一方、もうひとつの名義Xamigaでは2人の敬愛するデトロイトテクノへの探求がテーマとして設けられており、ドラマチックで攻撃的なトラック群が展開されている。RahmanはXamigaについて、「Xamigaには深みを与えたかったの。XamigaのトラックはTrackman Lafonte & Bonquiquiのハッピーでレイドバックした雰囲気とは対照的に、ディープでダークな作品にしたかったのよ」と説明している。

当然のことではあるが、RahmanはLegoweltに精神的な共通点を見出しているようで(ちなみにLegoweltの最新アルバムは『The Paranormal Soul』、つまり超常現象の魂と呼ばれている)、2人のコラボレーションについて熱心に語る。アンダーグラウンドなエレクトロニックミュージックのシーンにおいて最も尊敬されているアーティストの1人と共同作業をすることは時として困惑することがあるものの、明らかに大きな意味があったようだ。「前にDannyが30分に渡る彼の作品を彼のスタジオで聴かせてくれたことがあったんだけど、スタジオに入ったらMIDIキーボードに顔が描かれていたの。彼は(トラックを作るには)『顔を描くだけでいいんだ』なんて言っていたのよ。トラックも素晴らしかったわ」とRahmanは笑いながら振り返っている。また、Rahmanはお互いに教え合う部分もあったとしており、「Dannyは私が教えるまでAbletonの使い方を知らなかったの。それまでの彼はAmigaのコンピューターやアナログ機器、それにReason位しか使い方を知らなかったのよ。でも今はAbletonをかなりの頻度で使っているわ」と付け加えている。

また2012年、2人はスタジオでのコラボレーションに加え、ヨーロッパとアメリカのツアーも積極的にこなした。Rahmanは中でも“Elixir of Dreams”の制作に繋がった2011年の大晦日のデトロイトでのギグが印象的だったとし、「魔法のような経験だったわ。日付が変わる時は私がライブをやっていて、その後ろでLiquid LiquidのSal Pがカウントダウンのコールをしていたパーティーだったの。でも、次の日に街を歩いたら、街全体が廃墟みたいに感じられたのよ。凄く不気味なバイブだったわ。デトロイトには元々廃墟みたいな雰囲気があるけれど、元旦のデトロイトは本当にゴーストタウンみたいだった。2人で街を歩き回ったけれど、人間の魂はひとつも感じられなかったの。だからDannyの携帯のカメラでその様子を録画して、それを元にその日のうちに“Elixier of Dreams”を作ったのよ」と振り返っている。

2013年のRahmanは、Rush Hourからソロ名義のEPをリリースする他、XamigaとTrackman Lafonte & Bonquiqui名義でのリリースも行うようで、中でもTrackman Lafonte & Bonquiqui名義は既にオーストラリアのレーベルM Divisionからリリースされることが決定している。またRahmanは、「ダークでドローン」な別名義の作品のリリースも模索中のようだ。その作品についてRahmanは、「まだリリースしていない全く別の音楽があるの。もっとエクスペリメンタルな感じ」と説明しつつ、Throbbing GristleやノルウェーのブラックメタルバンドBurzumから影響を受けたものだと付け加えている。

現在未発表のトラックが100程揃っているというRahmanは、多作という意味でもLegoweltと共通した部分があるようだが、彼女は2011年にカリフォルニアからオランダへ移ることを決めた後から、制作のスピードがアップしたと説明している。ちなみに2012年にSkrillexなどを抱えるツアーマネージメント会社のグラフィックデザイナーとして働くために一時的にLegoweltと共にLAへ戻った過去を持つ彼女は、Rush Hourの自身のEPのデザイン協力、Crème Organization やCitiniteのアートワーク制作、そして数々のフライヤーデザインなども担当しており、グラフィックデザイナーとしての安定したキャリアも考えたようだが、結局音楽一本に絞ることを決め、オランダへ戻ってきている。「人生は短いの。好きなことをやらないとね」そう語る彼女に後悔はないようだ。




Translation / Tokuto Denda
Published / Friday, 15 February 2013

Photo credits /
Header, Portraits - Christian Olofsson
Live at Le Scop' Club, Paris - Claire Golzi



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