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Label of the month: Aniara Recordings
Label of the month: Aniara Recordings

Genius of Timeを擁するドリーミーでメロディたっぷりのスウェーデン発の注目レーベル

Fabian Bruhnは自信に満ちた男だ。かといって尊大だったり、鼻につくタイプではない。ただ文字通り、自信に満ちあふれている。3人のチームによって運営されるAniara Recordingsには、ときに地味でありながらも彼のアイデアが完璧なまでに自然なかたちで反映されている。しかし、いざヨーテボリの森でパーティに出かけようとするなら、やはりある種の自信がなければならないのは確かだ。もしくは、良いフックと説得力に満ちたディープなビートのみで構成された音楽(つまりハウスのことだが、常にその限りではない)でレコード・レーベルを始めようという時にも、そうした自信が必要だろう。

とはいえ、Bruhnが打算的にレーベルを運営してきたかといえば、そうではない。実を言えば、このレーベルの始まりはごく控えめなものだった。レーベルを立ち上げる資金集めに苦慮した挙げ句、Bruhnは地元の大学での治験のバイトに身を投じたのだ。「3週間ぐらいのあいだ、ずっと病院に缶詰状態なんです。1時間おきに検査されるんですから。僕たちが受けていた投薬テストは、向精神薬のためのものでした。ある人にはまったく効果が見られなかったり、他の人には躁鬱などいろいろな症状が出たりしましたけど、僕は正直なところいまいちよく分からなかったですね。まあ、少なくともお金は得られたからそれでいいんですが(笑)」とBruhnは笑いながら語る。

「これまで体験したこともないほどのシラフ状態というか、クラブなどの場所で感じるハイな感覚とはまったく正反対の感覚なんです。周りにいるのは医師や知らない他人ばかりですし。ベッドに横たわって音楽を聴きながらずっと「チルアウトしなきゃ」って考えてたのを憶えてます。そうして1日に12時間も音楽を聴き続けると、たくさんのインスピレーションが沸いてきました。おまけに、3週間経ったらたくさんのお金まで貰えましたからね。」


Genius of Time


この時点で、BruhnはGenius of Timeの2人、Alexander BergとNils Kroghに既に出会っており、彼らの"Same Old Place"というトラックの虜になっていた。このレーベルがスタートした理由は明確だった。しかしそのアイデアが具体化するのは次の夏まで待たなければならなかった。最初の作品をリリースするとすぐに彼らはヨーテボリでリリース・パーティを企画しようとしたが、どんな場所でそれをやればいいのか彼らはまったく知らなかったのだ。

「僕らは妥協が嫌いなんです。なにをやるにしてもね。僕たちの求めるものを満たしてくれる場所が、当時のヨーテボリにはなかったんです」とBruhnは回想する。「だから、自分たちでサウンドシステムを作って、その年の夏からパーティを始めることにしたんです。一晩中はもちろん、次の日の昼までパーティをやって、さまざまなムードを体験したし、パーティに来るお客さんみんなでひとつのヴァイブを作り上げるような感覚がありましたね。たとえヘンなレコードをプレイしたとしても、みんながそれを受け入れようとする姿勢を持ってたんです。ふつうのクラブだったら『俺は100クローネも払って、なんでこんな奇妙な音楽を聴かせられなきゃならないんだ!』って言われてしまうところですけどね」

「あの夏はたくさんパーティしたよな」と遅れてやってきたBergが会話に割り込む。

「毎週パーティだったよね。滅茶苦茶に疲れたよ」とBruhnが溜息まじりに答える。

一から自前でサウンドシステムを作るのは、並大抵なことではない。幸いな事に、Bruhnには大工として一時期働いた経験があったし、Kroghの父親はエンジニアだった。したがって、彼らはプランを立てた段階で、どこから手をつければ良いか分かっていた。Bergがひと言でその作業の苦労を語る。「木材のサイズを1ミリ間違って切り出してしまうだけで、サウンドは途端に大きく変わってしまうんだ」

彼らがパーティを始めると、物事はすぐにうまく行きはじめた。パーティは大盛況だった。Bruhnは語る。「ヨーテボリは小さな街だから、1つか2つのクラブが閉店しちゃうと、他に行くところがないんです。選択肢が少ないんですね。だから、僕らは過去のリバイバルと同時に、何か違うかたちでパーティできないかなって考えたんです。パーティは大抵の場合野外でやっていて、規模も小さなものでした。毎回警察が来てましたけど、彼らも『ほう、頑張ってやってるねぇ』って感じだったので万事OKでしたよ」

パーティが軌道に乗りはじめた時点で、Bruhn、Berg、Kroghは自分たちの手の中に何か特別なものが芽生えている事に気付いた。かつてBruhnはその時期こそがレーベルの誕生だったと語る。「その時点から僕ら全員がより結束してレーベルやパーティを運営するようになりました。お互いがより高い次元で融合しはじめたんです」

Aniaraが注目を集めはじめた頃、ちょうどスウェーデンからはGeographyやStudio Barnhusといったレーベル、SkudgeやAbdulla Rashimといったアーティスト、ストックホルムのThe Officeといったパーティが続々登場し、グローバルなダンスミュージックの地図にスウェーデンが再登場してきた時期でもあった。外部の視点ではなぜこれほど多くの動きが同時期に起こったのかその理由は把握しにくいのだが、Bruhnはそれを決して偶然の産物とは考えていないようだ。「それまでスウェーデン国内でのオルタナティブな動きというものは、すべてポップ・ミュージックの枠内で起きていたと思うんです。たしかに、スウェーデンにもずっとダンスミュージックはありましたが、そうしたオルタナティブな動きがダンスミュージックにおいて明らかに反映されることはなかったんです。近年になって、これまで以上に多くの人々がクラブカルチャーに流入するようになりました。そこから多くの変化がありましたね。彼らが若い頃に影響を受けたダンスミュージックに回帰してインスパイアされているんじゃないでしょうか」

レーベルとしてのAniaraのカラーを決定づけているものに、その固有のロマンティシズムと楽観主義がある。もちろん、彼らの音楽にもそれは反映されている。彼らがこれまでリリースしてきた作品の中心には、ドリーミーなコードがその主軸にある。Genius of Timeの"Gliese 581g"におけるメロディは疑いようもなくゴージャスなものだ。Auji "Conclusion Came to You"における渦巻くようなシンセは、すぐにでも遠い空間のなかに浮かんで溶けていってしまいそうだ。Dorisburg "Sinai Hypnosis"でのよろめくようなブレイクは非常に長く、ビートが入っている部分をブレイクだと勘違いしてしまいそうなほどだ。おそらくGenius of Timeにとってこれまで最大のヒットであろう"Houston, We Have a Problem"はClone Royal Oakからのリリースとなったが、たしかにこのトラックがAniaraからリリースされるとは考えにくい。2分半ほどのあいだ焦らし続ける、愛嬌のあるベースラインはあまりにルーディなのだ。



Fabian Bruhn and Alexander Berg


これからリリースを控えているAniaraの作品群は、それまでの軽やかさはキープしながらも、よりダンスフロアーをまっすぐに見据えたものになりそうだ。Henrik Bergqvist "Spin"では、そのミニマルなリズムに呼応するかたちでメロディが敷かれているし、まもなくリリースされるGenius of Timeの新作"Tuffa Trummor Med Rost"もドラムマシンのグルーヴをメインに据えつつ、ドリーミーな中盤ではレイヴ・クラシックさながらの展開を見せる(文字通りの意味と比喩的な意味での両面で)。Aniaraの作品は、いつだって太陽のような明るさを携えている。

Aniaraというレーベル名は、おそらくHarry Martinsonの詩(小惑星との衝突事故で死を免れた宇宙船乗組員を克明に描いた作品)から着想を得たものだろう。インタビューを終えた後にBruhnから送られてきたメールには、こう記されていた。「虚無の空間を孤独に旅する人々は夢想に目を向け、内面のかすかな気力を繋ぎ止め絶望と落胆から逃れるためにダンスの快楽性を求める」と。今度パーティでAniaraのレコードがかかっているのを耳にする時は、このことを心に留めておくのも悪くないだろう。



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Aniara Recordings Mix
10月のlabel of the monthミックスを手掛けるのはFabian BruhnとAlex Berg。これまでのAniaraのバックカタログを網羅するとともに、未発表トラックも満載。

Download: RA Label of the Month 1210 Mix: Aniara Recordings
(right click + save target as)
Filesize: 139.1 MB
Length: 01:16:46

Tracklist
01. Auji - Conclusion Came To You (Aniara)
02. Dorisburg - Sinai Hypnosis (Aniara)
03. Alex & Fabian - Respons På Blå Våglängder (Aniara)
04. Henrik Bergqvist - Go For What Hurts (Forthcoming on Aniara)
05. Alex & Fabian - Syra (Unreleased)
06. Genius of Time - Tuffa Trummor Med Röst (Forthcoming on Aniara)
07. Henrik Bergqvist - Spin (Forthcoming on Aniara)
08. Chefone - Test 126 (Unreleased)
09. Dorisburg - Mima (Aniara)
10. Mountain Range - Untouchable (Forthcoming on Aniara)
11. Genius of Time - Ain't No Game (Forthcoming)
12. Genius of Time - Gliese 581g (Aniara)

Translation / Kohei Terazono
Published / Wednesday, 31 October 2012

Photo credits /
Header, Genius Of Time live, sun shining through forest - Robin Jonsson
Park Portrait - Anna Massignan



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