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Best in gear:500ユーロ以下で買えるスタジオモニター
Best in gear:500ユーロ以下で買えるスタジオモニター

スタジオに欠かせないがつい手を抜きがちなスタジオモニター。手頃な価格帯の製品をRAが紹介する。(価格は欧州での販売価格)

新たに制作を始めた人たちに基本的なスタジオを組む時に何が重要な要素なのかを尋ねてみると、モニタリングシステムが1位に挙げることは中々ないだろう。実際、長年の経験や慣れで、ヘッドフォンやハイファイで綺麗にミックスをすることができるという話は良く聞く。しかし、これらの一般的なシステムでは音の周波数が安定しない(例:高域や低域が強調され過ぎてしまう)ことは科学的に証明されており、未熟なテクニックで行うミキシングは、雨水で汚れた見通しの悪いフロントガラスの車の運転に近い作業になってしまう。そして、このような作業から生まれたサウンドを優れたPAシステムを通して聴けば、元のミキシングの影に潜んでいた気持ち悪い部分が明るみに出るため、驚かされてしまうだろう。従って、多少の例外があるにせよ、大半の人にとってスタジオにおける最も重要な要素は優れたモニタリングシステムと言えるだろう。

空気中を通過して自分の耳へより正確な形でミックスを届けるまでには沢山の要素が関わってくる。空間の形、オーディオインターフェイスのコンバーター、壁の反響-そして壁を伝う電線さえもが関わってくるため、どういった要素がオリジナルのサウンドに影響を与えて変化させているのかを知れば、きっと驚くことになるだろう。そして、ここで最も重要になってくる要素の1つが、空気の振動を担うスタジオモニターなのだ。

自分に合ったスタジオモニターの選択には様々な要素が関わっており、非常に厄介だ。なので、しっかりと聴き比べができるような店舗を気軽に訪れることが出来ない場合、各種レビューだけを参考にして選択するのは非常に難しい。この点を手助けするために、RAが今の市場に何が出回っているのかを調べ、手頃な価格のスタジオモニターを選出した。以下に挙げるスタジオモニターは全て500ユーロ以下(欧州価格)で販売されているので、高い出費をせずとも、スタジオにおいて最も重要な機材を手に入れることができるはずだ。





HS50M

約310ユーロ/ペア
(Avid) Axiom Pro 61


最初は最も低価格な製品から始めよう。YAMAHAのHS50Mだ。この名前に何か聴き覚えがあるという人がいるかも知れない。というのは、このHSシリーズは名機YAMAHA NS10の後継機として開発されたからだ。NS10は1978年に発売され、スタジオからスタジオへ簡単に持ち運ぶことが可能な、小型サイズの素晴らしいスタジオモニターとして世界を席巻した。残念ながらNS10は2001年に生産が終了し、中古市場(海外)では他の名機と同様、結構な値段で取引されている。しかし、嬉しいことにYAMAHAはすぐに後継機の開発に着手。HSシリーズが2006年に発売された。HS50MはNS10のデザインを踏襲しながらも、角がやや丸みを帯びたモダンなデザインになっているが、それ以外の機能性などではNS10と殆ど変りがない。

HS50Mの背面部はこの価格帯のモニターとしてはかなりの機能が搭載されている。XLRと1/4インチTRSが入力端子としてレベルノブ下方に配置されており、その下には更に4つのスライド式のスイッチが配置されているため、自分のスタジオに合わせた設定ができるようになっている。Low Cut(80または100Hz)、Mid EQ(+/- 2dB 中心周波数2kHz)、High Trim(+/- 2db 2kHz以上)、そして空間の隅や壁の付近にモニターを設置する時のためのRoom Controlスイッチが存在する。このRoom Controlは、500Hz以下のシグナルを減衰させ、反響によって生まれる低音の誇張を抑えることができる。このような機能はこの価格帯のモニターには備わっていない場合が多いので、小さなサイズの空間向けで、音が誇張されないプロレベルのモニターが欲しいという場合は、この製品を是非チェックしてもらいたい。





Reveal 601a

約346ユーロ/ペア
(Avid) Axiom Pro 61


お手頃価格という意味で次に挙げるのは、UKの老舗TannoyのReveal 601aだ。ちなみにこの製品名の「a」は、今回取り上げている他のモニター同様、「active(アクティブ)」モニターを意味している。アクティブモニターとは内部に独自のアンプが組み込まれているモニターのことだ。アクティブモニターには良い点と悪い点があるが、その簡便性、そして大半のメーカーがパッシブモニターの開発を止めているという点から、今回の特集ではアクティブのみを取り上げていく。

Reveal 601aは6.5インチのLF/MIDセクションと300mmのソフトドームツイーターで構成されている。一般的に大きなウーハーのスピーカーは小さいウーハーのスピーカーよりも低域に強いが、6.5インチはニアフィールドモニターの中では一般的な大きさで、小さい、または中程度のサイズの空間での近距離のリスニングに適している。アンプ出力が90WのReveal 601aもこのカテゴリーに入るが、1メートルの距離で最大SPLが111dbなので、ベッドルームサイズには最適だが、それよりも広い空間ではではやや力不足に感じるだろう。

Reveal 601aにも入力端子はXLFと1/4インチTS(アンバランス)が備わっている。しかし、他の製品とは異なり、RCAが備わっていないため、人によってはアダプターが必要になるだろう。実際に使用してみると、Revealsシリーズはクリアな音でありながらも高域はスムースな鳴りなので、耳が疲れることなく長時間のミキシングを行うことができるだろう。





MR5MK2

約350ユーロ/ペア
(Avid) Axiom Pro 61


次は新しくデザインされたMackieのMRシリーズを取り上げたい。これは人気製品のHR624、HR824の新たな低価格バージョンと言えるだろう。MRシリーズは4年前に発売され、高い評価を数多く得ていたが、今回ドライバーを新しくしたアップデートバージョンが発売された。MackieはEAWのラウドスピーカーの専門家と共同開発したと発表しており、その結果、ツイーターはネオジム磁石を使用して歪みを最低限に抑え、磁性流体冷却でオーバーヒートを防ぐなど、まるでSF小説のような特性を持つことになった。

MRKMK2はTannoyよりも多くの面で勝っており、また、より少ない労力でより多くの結果を導き出すことに成功している。例えば周波数特性は50Hzで、Tannoyより約10Hz低く、アンプ出力も5W少ないが、最大SPLは6dB大きく、1メートルの距離で116dbを出力する。背面部にも数多くの機能が備わっており、XLRと1/4インチ(バランス)に加え、RCA(アンバランス)が入力端子として備わっている。また2つのスイッチが配置されており、高域のブースト/カット(+/- 2dB)と低域のブースト(2dBまたは4dB)を切り替えることが可能だ。これらの機能は最適のサウンドを導き出くのに大いに役立つだろう。





eXo2 2.1

約385ユーロ/ペア
(Avid) Axiom Pro 61


スタジオモニターとして機能しつつ、マルチメディア全般にも対応できるようなオールラウンダーを探している人には、Blue SkyのeXo2をチェックしてみることをお勧めする。ニューヨークに拠点を置くこのメーカーは、ホームスタジオモニターとマルチメディアスピーカーの溝を埋めるような製品開発に注力し続けており、eXo2は同社の前モデルeXoをアップデートした製品だ。2.1チャンネルのスピーカーシステムで、サテライトスピーカー2基と、サブウーファー、それに各種入力とサウンドの調整を司るコントロールハブで構成されている。

eXo2には数多くの入力が備わっている。背面部にはXLR/TRS用とRCA(アンバランス)、そして前面部にはiPodやMP3プレイヤーが接続できる1/8インチのステレオインプットが入力端子として備わっている。全ての入力を並行して使用できるという点がこの製品の魅力と言えるだろう。また前面部にはヘッドフォンジャックも備わっており、ここにヘッドフォンを差し込めば自動的にスピーカーへの出力がミュートされ、メインボリュームのノブをヘッドフォンのボリュームノブとして使用することが出来る。これはヘッドフォンとモニターで聴き比べをしたい時には非常に便利だ。

では、実際のサウンドはどうだろうか? 大音量には向いていないが、驚くことに小さな空間ではスタジオモニターと同等に機能する。サブウーファーの低域の再生能力は非常に高く、資料では20Hzまで対応すると書かれている。この特徴は前述のYAMAHAやTannoyよりも優れていると言えるだろう。他のスタジオモニターのような精度は得られないかも知れないが、低域の鳴りを確かめるのには向いている。また映画やゲームにも適している製品だ。





LSR 2325P

約460ユーロ/ペア
(Avid) Axiom Pro 61


ここまでに挙げた製品よりももう少し上位製品をと思っている人にはこのJBL LSR 2325Pをお勧めしたい。これはJBLの2300シリーズの最小モデルだ。製品名の「P」は「Powered」から取られており、これはTannoyで説明した「a」と同様の意味でアンプが内蔵されていることを意味している。2300シリーズは、同社のハイエンドモデル4300シリーズを簡略化したバージョンで、低価格にするために、空間に合わせる各種調整機能と前面部のメーターが取り除かれた。

このように簡略化されたものの、価格はTannoyやMackieよりも高い。しかし、価格相応の結果を得ることが出来る。アンプ出力は90W(ウーファー55W、ツイーター35W)で、最大SPLは118dbとなっている。また低域ドライバーは5インチのウーファーが採用されている。これはMackieと同サイズだが、JBLの資料によると、周波数特性はMackieよりも低い43Hzまで可能になっている。

またLSRシリーズは、JBL独自のLinear Spatial Reference(LSR)理論を導入しているため、他のスタジオモニターではミキシングがやりにくいと感じてしまう空間で効果を発揮する。開発チームはスタジオモニターの周囲72カ所で様々な角度から測定を行い、その結果をデザインに反映させたとしている。このため、壁や天井の反響で音像が乱れてしまうような空間にいる場合、他のスタジオモニターよりも正確なサウンドを導き出すことができるだろう。





Rokit 8 G2

約478 ユーロ/ペア
(Avid) Axiom Pro 61


スタジオモニターを10年以上チェックしてきたという人ならば、KRKの「Rokit Powered」シリーズのトレードマークである黄色のウーファーを持つデザインは馴染み深いだろう。オリジナルシリーズはパワフルなサウンドと低価格が売りで、その結果、数多くのエレクトロニックミュージックのプロデューサーに使用されてきたが、今回紹介するG2はオリジナルシリーズを再調整し、新たにデザインした製品だ。そしてその違いの多くは明確で、すぐに理解することができるだろう。

オリジナルシリーズは基本的にはボックス型で、角が丸い程度のフォルムだったが、G2の前面部は更に丸みを帯びたデザインになった。これが今回の大きな変更の1つで、KRKによれば、このデザインによって、スイートスポット(最高のサウンドを得られるエリア)が拡大されたとKRKは主張している。これは、角張ったデザインのスタジオモニターでは、異なった時間間隔でサウンドを反射してしまうため、スタジオモニターから距離を取る程サウンドに歪みが生じてしまうという結果から採用された。

今回取り上げたスピーカーの中で唯一8インチのウーファーを備えているRokit 8はエレクトロニックミュージックのプロデューサーには最適の製品なのかも知れない(このウーファーの周波数特性は45Hz)。また拡大したスイートスポットも、スタジオのセットアップによって、通常の位置から少しずれた位置に座らなければならない場合に役立つだろう。


Words / Mark Strauss
Translation / Tokuto Denda
Published / Tuesday, 28 August 2012


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