RA
RA Japan
RA
Global
Local
Music
Interact
フォーラム 最新
Search RA
ディレイのクリエイティブな使用法
ディレイのクリエイティブな使用法

RAのJono Buchananが必須エフェクトを最大限に活用する。

EQ、コンプレッションリバーブは重要なエフェクトで、殆ど全てのインストゥルメントに適用できます。ヴォーカルに広がりを与えたり、シンセのリズムに変化を加えたり、またはドラムにダビーな効果を与えたりすることができます。しかし、他のエフェクトと同様、特に制作を始めたばかりの人には非常に魅力的な存在に見えるため、ついつい過剰に使用してしまう時があります。

今回の特集では、ディレイのクリエイティブな使用方法について学びながら、より効果的な使用方法、そして少し変わった使用方法についても学んでいきます。ディレイも最も良く知られた使用方法は、このエフェクトをインサートすることで、パート全体に均等にディレイ効果が得られるという方法です。これは効果的ではありますが、不利な部分が生まれてしまいます。

まず、ディレイによってサウンドが埋もれてしまわないようにする方法を見て行きましょう。エフェクトをかけすぎるとヴォーカルが狙い通りに聞こえなくなってしまいますし、パーカッシブなサウンドもリズム感が失われてしまいます。これはドラムサウンドに限った話ではなく、鋭いアタックを持つ全てのサウンドに当てはまります。もしディレイのレベルを比較的小さく設定し、エコーを薄くかけるだけという場合にはこれでも問題にはなりませんが、明らかな効果を得ようとする人には、サウンドが埋もれないようにするための方法があります。

ディレイを別チャンネルに立ち上げ、ヴォーカルのチャンネルのセンドレベルのオートメーションを設定するのは非常に効果的です。これによって、どの言葉、どのサウンドにエフェクトをかけるのかをコントロールすることが可能になります。

ここではオリジナルのヴォーカルパートが大きく変化してしまっていることが分かります。ヴォーカル部分の発音が不明瞭になってしまっています。また、この例のようにディレイを使用する部分が一節だけではなかった場合、対象部分は更に不明瞭になり、理解しづらくなってしまいます。



上のサンプルと比較してみると、ここでは最後の「Yeah」だけにディレイがかかっています。これはヴォーカルトラックからディレイへ送るセンドレベルにオートメーションを設定することで生まれる結果です。最後の言葉だけディレイチャンネルに送られるというわけです。サウンドは鮮明になり、ヴォーカルパートがディレイで埋もれてしまうようなことはなく、パートとパートの間をディレイが埋めるだけです。





当然、ディレイのプラグインには様々な種類があるため、機能も多岐に渡ります。EQやフィルター、パンニング、そしてディレイのステップごとに移調が設定できるプラグインも存在します。しかしどのようなディレイにも、必ずディレイとフィードバックを設定する機能がついています。まずフィードバックですが、これはディレイのエコーが消えてなくなるまでの時間を設定するものです。フィードバックレベルが小さければディレイの回数が減り、レベルが大きければ、ディレイの回数が増えたり、リジェネレート(再生)されて増幅し、ヴォリュームが大きくなったりすることもあります。

ディレイの設定についてですが、殆ど全てのDAWのディレイのプラグインには、テンポの同期機能のオプションが付属しています。実際はデフォルトで付いている場合が多いでしょう。しかし、ハードウェアのディレイユニット、または同期機能が付属していないディレイプラグインの場合は、ディレイのスピードをテンポに同期させるための数式を適用します。まず計算機に240,000と入力し、これを自分のプロジェクトのBPMで割ります。そしてその答えを、ディレイさせる長さ(音符の長さ)で割り、設定に必要な数値をミリ秒単位で導き出します。例えば、BPM124で1/4音符でのディレイがかけたい場合、数式は240,000÷124÷4=483.87となります。

もし手元のディレイプラグインが、コントロールの数がトーンやピッチに限られた簡素なプラグインだった場合は、ディレイの後ろに別のプラグインを配置することで、時間経過と共にエコーをクリエイティブに変化させることが可能です。例えばヴォーカルに対して、電話の声のようなディレイを得たい(オリジナルのヴォーカルは通常)場合を想定しましょう。


手元のディレイプラグインにトーンコントロールが無い場合は、AUXチャンネルに立ち上げたディレイの後ろにEQを置く方法が最適です。EQの設定でローとハイを外して、ミッドだけにします。サンプルを聴いてみましょう。



さて、インサートではなく、AUXにエフェクトを配置する方が良いのは何故でしょう? これはEQによってディレイシグナル全体を処理したいからです。これをインサートで行うと、ドライ(オリジナルサウンド)とウェット(エフェクトがかかったサウンド)のバランスを取る必要が生じてしまいます。ウェットを100%に設定、つまりオリジナルサウンドを全て取り除かない限り、ドライ(オリジナルサウンド)もエフェクトを通過してEQに入ってしまい、電話の声のエフェクト部分に影響を与えてしまいます。非常に厄介で複雑に思えると思いますが、実際にそうなのです。AUXチャンネルを使用すれば、ディレイシグナルを100%ウェットにしておくだけで良いので簡単です。パート全体のドライ部分とエフェクト部分は切り離せるということを覚えておきましょう。

次に、センドレベルをコントロールするためのオートメーションの書き込みに注目しましょう。ヴォーカルを扱う時は特に注意が必要です。自然なヴォーカルは1つの言葉から次の言葉へ移る時、あいまいな響きになる時があります。ですので、オートメーションを直角のラインで書き込むことは良い方法とは言えません。そうではなく、言葉から言葉へ鋭い傾斜を作り、必要な場合は終了部分にも同じように傾斜を作って、自然な処理が行われるようにしましょう。下の画像で実際の例を確認することができます。最後の言葉に向かって鋭い傾斜を書き込み、サウンドをAUXへ送っています。





ディレイからディレイをリジェネレートする場合は、オートメーションの役割ががらりと変わります。オートメーションでディレイが設置されたAUXへ送るセンドレベルをコントロールするのではなく、ディレイプラグインのフィードバック値を変化させるのです。というのは、ディレイのリジェネレートはレベルが固定されていては行えないのです。リジェネレートされるディレイは性質上、どんどん音が大きくなってしまいます。ですので、リジェネレートされたディレイは、スタート時には丁度良く聴こえますが、フィードバックレベルをコントロールしないと、時間経過と共にハウリングや歪みを生じてしまいます。


ここでループしているピアノパートは、最初の3回はフィードバックレベルが45%で固定されています。しかし、4回目はその後2小節のブレイクにかけて音量を上げたいので、AUXのディレイプレグインのフィードバックレベルをオートメーションで調整しています。





ここでは、オートメーションを書き込むのがピアノトラックではなくて、AUXチャンネル上だということに注目しましょう。LogicのTape Delayプラグインでは、フィードバックのリジェネレートはレベルが50%以上になると発生します。この図では57%まで上昇させてから、自然にレベルを下げることで、ビートとベースが入ってくるパートへ無理なく戻しています。ここでも先程と同じように、自然な傾斜のオートメーションにすることが重要です。もしフィードバックが急に消えてしまった場合、ビートとベースが入ってくる前にピアノのディレイが完全に消滅してしまい、ディレイのリジェネレートによって生まれたエネルギーが減衰してしまいます。例えばUADのEP-34プラグインなどは、激しいリジェネレートを発生させることができます。





また、ディレイのステップごとに複数のパラメーターを変化させることが可能なディレイプラグインならば、ミックス作業の時間はかかりますが、更なる変化を生み出すことができます。このようなディレイエフェクトは、「ドロップ」のような特殊な効果を得ることができます。「ドロップ」とは、トラック上の複数の要素を、例えば、ディレイのステップごとに音階やフィルターを激しく変化させる効果です。


例えばLogicのDelay Designerは、フィルター、移調、レゾナンス、ディレイ1回ごとのパンニングなどのコントロールが可能です。以下の例では、ステップごとにピッチが下がりながら(ドロップ)、左右にパンニングしていきます。





同様に、もっとディレイで「ワープ」(飛ばす)させるような効果を得たいという人は、ディレイの順番を変更したり、リバースディレイをかけたりすることが非常に効果的です。ここではピアノとセレステの両パートがSoundToysのEchoBoyに送られており、柔らかい1/8音符のディレイを生み出しています。




こちらはAUXのディレイの後にSupaTriggaを配置した場合のサウンドです。




ランダムにディレイの順番が入れ代わったり、リバースされたり、スピードがスローダウンしたりしていますので、飽きずに聴き続けることができます。オリジナルのピアノとセレステの一般的なリズム、そして最初の例よりも面白くなっていることが確認できるでしょう。尚、SupaTriggaはフリーウェアなので、このような効果を得たいという人は、是非ともダウンロードして入手してください。パラメーターをより細かく変化させてグリッチやワープ効果を得たいという人は、iZotopeのStutter EditやSugaBytesのTurnadoなどを試してみるのも良いでしょう。





ディレイの後ろにフィルターを配置するのも良いでしょう。ディレイのセンドレベルが一定の場合、しばらくすると飽きてしまいます。しかし、フィルターを配置して、カットオフポイントをオートメーションで書き込めば、ディレイのトーンが上下します。また、フィルターにLFOが付いている場合はそれを使用するのも良いでしょう。


ここでその効果を聴いてみましょう。まずはTremorでプログラムされたビートのループを聴いてみます。





次に、上のビートをEchoBoyへセンドして、1/8音符のディレイをかけるとこのようになります。素晴らしいシャッフル効果が得られますが、しばらく聴いているとありきたりのディレイに聴こえてしまいます。




そこで、Echoboyの後ろにEtchを配置し、テンポと同期したフィルターを上下させると、このような効果が得られます。



ディレイはそれだけで素晴らしいエフェクトですが、ディレイをどう変化させるかで、更なる効果を得ることが可能です。これによって自分だけのサウンドを無限に得ることができるようになるでしょう。

Translation / Tokuto Denda
Published / Wednesday, 25 July 2012

Photo credits /
Header - Jon Martin


Share this article



Features















Other features
RAが9月に開催されるフェスティバルトップ10を紹介する。
RAが9月に開催されるフェスティバルトップ10を紹介する。
ブラジル最良のクラブとして名高いD-EdgeのオーナーにRAがインタビュー
ブラジル最良のクラブとして名高いD-EdgeのオーナーにRAがインタビュー
先日自身のキャリアの中で最もフィジカルな作品をリリースしたモダンテクノの異端児にRAのTodd L. Burnsが迫る。
先日自身のキャリアの中で最もフィジカルな作品をリリースしたモダンテクノの異端児にRAのTodd L. Burnsが迫る。



RAについて  
スタッフ  
モバイル (beta)  
イベント投稿  
Copyright © 2013 Resident Advisor Ltd.
All rights reserved. 利用規約 & プライバシー.