その方向性の変化は、フルバンドAtoms for Peaceを組んで制作したことが大きく作用している。『The Eraser』をライブで再現するために2010年にRed Hot Chili PeppersのFlea、パーカッショニストのJoey WaronkerとMauro Refosco、それにRadioheadのプロデューサー兼共同作業者でもあるNigel Godrich(ギター、キーボード、シンセを担当)を招いたことがきっかけとなったこのバンドで、今回はLAで3日連続のレコーディングセッションを行い、そこで得た素材を元にYorkeとGodrichが再構築した9曲入りのこのアルバムは、Thom Yorke節が色濃く残る作品となっている。
『Amok』のサウンドの特徴はエレクトロニックとアコースティックが贅沢に混ざり合っている部分にあるが、音像がおとなしいせいか、アレンジの複雑さが感じられない時もある。このアルバムの持つ高密度なポリリズムは、Radioheadの2011年のアルバム『The King of Limbs』に収録されている荒涼としたパーカッションが特徴的な“Little By Little”や2ステップ的なリズムが躍動する“Feral”を思い起こさせるものだが、Radiohead名義から離れたYorkeはそのリズムを更に突き詰めており、ややこしさを取り除いた微細なヒプノティックなリズムループを打ちだしている。『Amok』は所謂ダンスアルバムではないが、良く練られたループとリズムを重視しているため、その視線はダンスミュージックへ向けられているように感じられる。
大学生の頃、金曜日の学生パーティーでよくDJをしていたんだ。僕が始めた理由は、他のDJが最悪だったからなんだけどね。「彼よりは上手くできるだろう」って思ったのさ。それで彼と一緒にやることになったけれど、結局彼は去り、僕がやることになった。凄く楽しかったよ。毎週1500人位入っていたな。他のDJはただで沢山レコードをもらえていたのに、僕はもらえなかったから、何かやり方を間違っていたんだろうとは思うけれど、それでも初期Warpのレコードを何枚かもらえた時があってね。Sweet Exorcistの“Per Clonk”とNightmares On Waxだったんだけど、完全にぶっ飛ばされたよ。そこのサウンドシステムは低音用にTurbosoundが組まれていて、そこにドラッグをやっている連中が座ったりしていたんだけど(笑)、彼らが同じレイブチューンをプレイしろって何回も頼んできたよ。色々かけたミックスだったと思うよ。ただ、たまに人を自分の所へ来させないようにプレイしたトラックはちょっとうざい感じのトラックだったけどね。
僕自身もWarpのAutechreやAphex Twinなんかをまた聴くようになっていた。HMVにふらっと入ったら、『Richard D James』のジャケットのあの顔が目に飛び込んできてさ。「クソ!僕がやろうと思っていたアイディアだ!」って思ったのを憶えているよ。AutechreもAphex Twinも素晴らしかったし、Squarepusherも凄かった。あれは1998年、1999年位だったかな。でも、またそこから少し興味を失ったんだ。しばらくしたら、なんか頭で考えた音楽だなって感じるようになったんだよね。楽しめる音楽ではあったんだけど…。
そこから数年後の話になるのですが、あなたを通じて私は初めてBurialの存在を知ったんですよ。当時あなたはBBC Radio 1で彼のアルバム『Untrue』から1曲プレイしていました。あなたにとってダブステップは大きな発見だったのでしょうか?
2011年の『The King of Limbs』のリミックスアルバム『TKOL RMX 1234567』ではダブステップシーンのアーティストを起用しましたよね。
実は頼むことさえ本当に恥ずかしくて気が引けていたんだ。でも『The King of Limbs』の制作方法は凄く特殊だったから、そこから何か素材を取り出して、他人に違う角度から見てもらうのも良いかも知れないと思ったんだよ。元々そういう感じで作ったアルバムだったしね。だからリミックスをやりたいって言ってくれた時は本当に嬉しかったよ。ただ、別にこのシーンを支持しようとしていた訳じゃなくて、ただ他のアーティストがどう料理してくれるのかを見てみたいなという感じだった。