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Label of the month: Arma
モスクワが誇るトップクラブの意志、その延長上に位置するレーベル
ロシアは巨大な国だ。これはさして取り立てる必要もない事実だが、この点に基づいた文章を書こうとする人にとっては、これは無視することはできない部分だ。ロシアは巨大な国で、様々な趣向、美学、見解が存在する。つまり、全てのロシア人が所謂「ロシア人」ではないということだ。これは全てのアメリカ人がジョージ・W・ブッシュに投票したわけではないということ、そして全てのイタリア人がベルルスコーニを支持していたわけではないということと同じだ。
よって、ロシアのような巨大な国に世界屈指のアンダーグラウンドクラブArma17があるというのは驚くべきことではない。モスクワのような都市にはこのようなクラブに毎週のように通う人達の数が十分に揃っている。むしろArmaにおいて最も印象的な点は、このクラブが今の形になるまでにかかった時間の短さだろう。
Arma17でレジデントを務め、クラブのアーティスティックな部分でのディレクションを担当している1人Abelleは、「パーティー自体は2008年よりも前からスタートさせていたの。でも自分たちの希望を全て満たしてくれる場所が中々見つからなかったわ。当時のモスクワのクラブの大半は、音楽的な方向を継続させるよりも短期的な収益を考えていたの。裕福で贅沢な暮らしをしている人達を相手にしているプライベートクラブばかりで、普通の人が入るのは凄く難しかったわ。私たちは優れたサウンドシステムも希望していたから、全ての要求を満たすとなると本当に無理な話だったのよ」と説明する。
またAbelleは、当初モスクワの人達を相手にクラブを立ち上げることは非常に難しいタスクだったとし、「みんなコンセプトが理解できなかったのよ」と振り返ってもいるが、RAのアーカイブを調べてみれば、Arma17がいかに短時間で受け入れられたのかが理解できるだろう。開催されていたパーティーに対する評価は2008年4月から7月にかけて急速に高まっており、「Cocoon、Renaissance、そしてMatineeのようなパーティーのホストを経て、このクラブはモスクワにいる数多くのクラバーにとってのホームのような存在になった」、また「このパーティーが今夏のArma17の最後のパーティーだ。9月になればもっと有名なクラブになっているだろう」などの意見が出るようになった。
そして実際その通りになった。ダンスミュージックの世界では良くあることだが、Arma17でプレイしたDJたちが自国へ戻ることで、その評価が口コミで広まっていったのだ。彼らは、素晴らしいクラブに必要なものが全て揃っているクラブがモスクワに存在する、そして「ロシア的ではない」ロシアのクラブが存在するのだと伝えていった。Abelleは、「私たちは世界を相手にしていたの。最初から『ロシア的な』部分が無い、自分たちのビジョン、音楽的方向性、そして個性を持った、インターナショナルなシーンの中で存在できるクラブにしたかったの」と説明している。
その「意志」は、Armaを理解するには重要な点だ。実は2009年1月に最初にスタートさせた場所が火災によって焼失してしまい、現在パーティーはその付近の場所で行われているのだが、彼らの目指している、質の高い音楽、質の高いサウンド、そして質の高い客層という部分にブレはない。「Armaの良いところは、来てくれるお客さんね。彼らの要求は高いけれど、保守的な感じが少ないの。これがこのクラブのコミュニティにおいて最も優れた部分で、彼らは常に進化しようとしているわ。他の都市と一緒で、彼らにもお気に入りのアーティストがいるけれど、新しいものに対しても非常にオープンで、アーティスト達に凄く期待しているの」とAbelleは答えている。
これは勿論ギブ・アンド・テイクの関係で、DJ側が満足していなければ成り立たないものだが、Arma17でプレイした経験があるアーティストたちに世界最高のクラブはどこかという質問をすれば、Arma17は必ず上位に入ってくるだろう。例えばMarcel Dettmannは、昨年RAの10周年ツアーとしてArma17でプレイしているが、90年代のベルリンに存在したE-Werkを想起させる存在だとし、「サウンドは素晴らしかったし、ステージ周りも良かった。お客も最高だったよ」と語っている。また2010年にa:rpia:rのPetre Inspirescuと話をした時も、最初にArma17の名前を挙げていた。
ちなみにPetreのようなルーマニアのアーティスト陣とArma17のコネクションは強固なもので、最近では、今度リリースされるArmaの3番にRhadooが貴重なリミックスを提供している。ちなみにこれ以前の2枚のリリースはレジデント、または過去にプレイしたアーティストたちによるコンピレーションで、様々なテイストが盛り込まれており、現時点ではレーベルの方向性は定められていないように感じられる。Abelleはこれについて、「クラブのレーベルだから、普通のレーベルみたいに方向性を1つに絞る必要がないの。間口を少し広げることができるのよ」と説明している。
しかし、たとえAbelleの言う通りだとしても、前述のルーマニアチームによって生み出されたオーガニックなミニマルテクノ、そしてAnton Zapなどのロシア人アーティストによって少しばかりひねりが加えられたディープハウスなどが、現時点のレーベルの特色として存在していることがわかる。前述のRhadooのリミックスが加わったAndrey Zotによる次の12インチは、さながら初期Cadenzaのような響きを持っている。

Armaがこの先がどうなるのかは誰にも想像がつかない。レーベルの主要アーティストは誰なのかという質問に対し、Abelleは「2年後にもう一度同じ質問をしてちょうだい」と回答した。しかし、時間の経過と共にその方向性が幅広くなっていくのは間違いないだろう。パーティーの過去のラインナップを見れば、Atom TM、Monolake、DJ Sprinkles、Actress、Kode9、Moritz Von Oswald Trioなどが多種多様なアーティストが出演している。またAbelleは、Armaの次の大きなプロジェクトはモスクワでの巨大なフェスティバルの開催だということを口にした。世界各地から10人以上のアーティストが集まるような規模のフェスティバルが、果たしてどのようなものになるのかと考えずにはいられない。
Armaを取り巻くアーティスト、そして周囲の環境は、このような形で外部へ継続的に露出することでしか成長することはできない。Armaからどのアーティストが、そこへ招聘されたインターナショナルなアーティストと同レベルまで育っていく姿を見届けていくのは面白いはずだ。レジデントのAlex DanilovがArmaの2番で披露したディープハウスは、最近彼がArmaで一緒にプレイしたSmallvilleクルーの目に留まってリリースされていてもおかしくはないし、Piticuの“MKE”は不思議なパワーがある捻じれたミニマルテクノだ。しかし、誰が優れたアーティストなのかという話はここでは意味がない。Abelleは、「私たちは(レーベルを通じて)Armaに存在する独特の時間と音を共有したかったのよ」と説明している。別の言い方をすれば、彼女はArmaというロシアを私たちの元へ届けたかったのだ。
Arma Mix Armaでレジデントを務めるDJ Abelleが、Armaのディープな方向性を示すレーベルミックスを提供する。今回のミックスには、Alex Danilov、Djungl、Anton Zapなどによるハウスとテクノ、そして来月リリースされるRhadooによるリミックスなどの未発表音源も多数含まれている。
Download: RA Label of the Month 1206 Mix: Arma
(right click + save target as)
Filesize: 106.9 MB
Length: 00:44:33
Tracklist
01. Latecomer - Close Up
02. Jeefo - Limonada
03. Piticu - Arzi Unde
04. Area feat. Keter Darker - Bourbon Skies (Vakula Remix)
05. Alex Danilov - Deep S
06. Alex Danilov - Down S
07. Djungl - Rakatakata
08. Anton Zap - Fidget
09. Jeefo - Attack
10. Andrey Zots - Ty El (Rhadoo Remix)
11. Area feat. Keter Darker - Bourbon Skies (Version D)
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Published / Monday, 09 July 2012
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